ファッション

パリメンズ10周年記念の「リンシュウ」が“透明なウエア”という新香水「1217」を発表

 デザイナーとしては28年連続、ブランド「リンシュウ(RYNSHU)」としても10年連続でパリ・メンズ・コレクションに参加する山地正倫周(やまじ・りんしゅう。以下、正倫周)はこのほど、初挑戦となるフレグランスを発売した。香水を監修したのは、山地のパートナーのRieco YAMAJI(以下、Rieco)。1月の2020-21年秋冬パリメンズでは、モデル全員に香水“RYNSHU 1217”を吹き付け、彼らをランウエイに送り出す。香水を“透明なウエア”と位置づけ、最後にセンシュアル(官能的)な香りをまとうことで、スタイルは完成するとの思いを込めた。「RYNSHU」のパリ・メンズ・コレクションで、Riecoには香水、正倫周にはコレクションとスタイルへの思いを聞いた。

ミステリアスなスズランの
香りをまとって

 「リンシュウ」の2020-21年秋冬コレクションのショー会場は、パリの中心部ヴァンドーム広場にほど近い高級ホテル。シャンデリアが煌めくバックステージでRiecoは、モデル一人一人に丁寧に“RYNSHU 1217”を吹き付けた。美容業界に精通するRiecoが、ブランド初の香水に選んだのは、スズランの香り。Riecoは「かつては媚薬だったミュゲ(スズラン)は、配合が難しいけれど、ミステリアスな香り。ジェンダーレスでもあり、『リンシュウ』のスタイルにぴったり」と話す。一般的な香水は、スプレーした瞬間のトップノートから、ミドル、そしてラストノートとさまざまな香りが順次立ち上がり消えていくが、“RYNSHU 1217”は、吹きかけたときに香る、スズランやムスク、フレッシュローズ、シトラスやウッドの絶妙なバランスの調香が、その雰囲気をずっとキープしたまま持続し続けるという、従来のパターンにとらわれない新しいタイプの香水。Riecoは、「初めてのフレッシュさがずっと欲しかった。トップノートがずっと香るフレグランスは今、少しずつ増えている」とこだわりを語る。香りをまとったモデルたちは、「年齢的には少年のハズなのに、一瞬で顔が引き締まる。改めて“透明なウエア”の力を感じた」と振り返った。

最新コレクションは
ジェンダーレスなフォーマル

 “RYNSHU 1217”が魅力を引き出した「リンシュウ」の2020-21年秋冬コレクションは、引き続き正倫周が追い続けるジェンダーレスなフォーマルの世界を探求。黒と、その対極とも言えるフーシャピンクをベースに、洗いをかけることで柔らかく仕上げたベルベットやシルクで仕上げたセットアップが続く。コレクションは、会場に振りまいた“RYNSHU 1217”の香りを体感してもらうべく、来場者の感覚を研ぎ澄ませる漆黒の空間でスタート。モデルは柔らかな素材、ピンクという色、そして、息を飲む装飾を堂々と着こなす。フィナーレには、正倫周とRiecoが揃って登場。正倫周の洋服、そしてRiecoの“透明な洋服”が揃うことで完成する「リンシュウ」のスタイルを物語るエンディングだ。

なぜ香水が必要なのか?
デザイナーに直撃

 デザイナーの正倫周はブランド初の香りに包まれたコレクションを、「改めて香水の持つ力を感じた。モデルのテンションが違う。ジェンダーレスなスタイルの極め付け、『リンシュウ』の新たな魅力として、長年挑戦したかった香水が発表できて嬉しい」と振り返る。デザイナーとして数十年、「リンシュウ」でも10年のキャリアを誇る正倫周は近年、かつてのロックから方向転換。現在はクチュール級のソフト・テーラードを探求し、「長く愛用できるアンティークになるものを目指す」。そんなスタイルに、Riecoが「ずっとフレッシュ」と話す香水はピッタリだ。

 Riecoは、「男性が身につけると、センシュアルだけどチャーミング。優しくて心地よい。それは、『リンシュウ』の洋服も香水も同じ」と言う。“RYNSHU 1217”によって、パリメンズに挑み続けるブランドがまた一歩前に進んだ。

問い合わせ先
RYNSHU
03-3402-5300