KDDIと渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会は共同で、3月に本格的に導入予定の第5世代移動通信システム(以下、5G)を活用して渋谷の創造文化都市事業へ貢献する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」を発足した。東急やパルコ、ベイクルーズなど32の参画企業・団体と共にKDDIのau 5Gを用いてアート、音楽、ファッションといった渋谷の文化を深化させる取り組みを実施する。
同プロジェクトの第一弾として、24日と25日の2日間、渋谷駅のハチ公前広場に5Gの基地局を設置。スマートフォンをかざすことで1964年の渋谷の街並みを体感できるXR(クロスリアリティー。VRやAR、MRの総称)体験ブースを開設する。そのほか、観光案内所の“青ガエル”で1月24~3月31日までの期間、XR技術やAIを実験的に用いて今後実施する5Gによる拡張体験施策のガイドを行ったり、1月25日の須田景凪のライブイベントや1月26日の格闘ゲームの祭典「エボリューション チャンピオンシップ シリーズ:ジャパン2020(EVO Japan 2020)」などにも5Gを活用した拡張体験を提供する。
プロジェクトの発足日には、メディア向けの説明会が行われた。KDDIの繁田光平ビジネスアグリゲーション本部 アグリケーション推進部部長は「昨年の9月に渋谷区とKDDIで『渋谷エンタメテック推進プロジェクト』を作り、オープンカンファレンスを開催した。議論で出てきたさまざまなアイデアを具現化し、天気や場所に応じてAIが作曲するサービスやARアートなど、2~3カ月の間で7つのコンテンツをリリースしてきた。さまざまな企業の方とつながっていく中で、今回のプロジェクトが発足した。われわれとしては次のフェーズに進んだと考えている」と経緯を説明する。今後の取り組みについては具体的な明言はなかったものの、「5Gにおける進化の方向性は、高速かつ大容量でのデータ通信が可能にするネットの進化と、リアルの世界のデジタル化の2つがある。当社としては多種多様な人が集まる場所で、エンタメなどにおける熱量をデジタルの力で増幅できればと考えている。現在まさに詳細を詰めているところだが、春ぐらいには大きな計画を発表できると思う」と話した。
説明会には、長谷部建・渋谷区長や渋谷未来デザインでフューチャーデザイナーを務める若槻千夏らも登壇した。若槻は「5Gは単に便利、速いというイメージしか持っていなかったが、調べていくうちに世界を変える可能性を持っていると実感した。17歳でデビューしてから、18年間住み続けている渋谷をエンタメの街として、若者だけでなく私のようなママなども巻き込んでいくお手伝いをさせていただければと思っている」とコメント。長谷部渋谷区長は「2020年は東京オリンピック・パラリンピックをはじめ、明治神宮の100周年など、さまざまなイベントや行事が起きる年。実際に多くの人に注目され、足を運んでいただいている。『渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト』は、 “多様な人・モノが混ざり合い、新しい価値・文化を世界に発信していく”という渋谷区が目指すところを実現していく予感がして、今からワクワクしている。区としても出来る限りサポートしてきたい」と期待を寄せた。