山形県の老舗百貨店である大沼(山形市、長澤光洋社長)は27日、山形地裁に破産を申請した。東京商工リサーチによると負債総額は約25億円。約200人の従業員は同日付で解雇された。同社は山形県では日本百貨店協会に加盟する唯一の百貨店だった。
大沼は1700年に創業した全国屈指の老舗百貨店。酒田、米沢などにも店舗を構え、地元に根ざした百貨店として支持を集めてピーク時の1993年2月期には売上高196億円を誇っていた。だが、近年は大型のショッピングセンターに客が流出して19年2月期は約74億円にまで縮小していた。赤字が続いたことから2018年に投資ファンドであるマイルストーンターンアラウンドマネジメントが再建に乗り出したものの、内紛によって地元実業家に経営権が移るなど迷走していた。19年10月の消費増税による買い控えが打撃になり、資金繰りに行き詰まって今回の事態になった。