※この記事は2019年9月18日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
4000円で買える「グッチ」
「グッチ(GUCCI)」はマジで100億ユーロ(約1兆1900億円)ブランドになりますね。彼らは18年6月に売上高100億ユーロを掲げて邁進中で、17年12月期の62億ユーロ(約7378億円)から18年12月期で82億ユーロ(約9758億円)まで伸ばしています。 LVMHはブランドごとの売り上げを開示しませんが、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は100億ユーロを優に超えているとしており、「シャネル(CHANEL)」も111億ユーロ(約1兆1320億円)ですから、このビッグ2に続くブランドとしてぐいぐい追い上げてきています。
今後、この成長のドライバーになるのは、間違いなくコスメでしょう。
香水だけだったビューティ事業をコスメにまで拡大すれば、そりゃあ伸びます。なにしろ「シャネル」は売上高の半分以上がビューティのようですから、ウエアやハンドバッグと同等か、それ以上のポテンシャルを秘めているといえるのです。
とはいえ、「グッチ」のビューティはコティによるライセンス生産。「グッチ」の売上高にはライセンス料しか計上されないので、爆発的に売上高を押し上げるには至らないでしょう。しかし、それでもリップが発売1カ月で100万本売れるのであれば、恩恵は少なくないはずです。
日本は未発売で、個人的には香りがついた口紅ってイヤなんですが、それでも「どんなものかね?」と興味を持ちます。 「グッチ」はインスタグラムでビューティ専用のアカウントを開設しているのですが、さまざまな地域のさまざまな年代の化粧文化について言及する投稿もしており、カルチャーを感じさせるのが、本当に今ドキだなと思います。
さらに「グッチ」は7月にハイジュエリーコレクションを発表して、ヴァンドーム広場に小さなジュエリーショップもオープンしました。4000円のリップを頑張って買う学生から、自家用ジェットで1000万円のハイジュエリーを買いに来る超富裕層まで幅広い層にアプローチできる商材を一気に拡大しているわけです。
とはいえ、実際使ってみてどうかがコスメの難しいところ。「グッチ」のブランド力による掴みはOK!リピート購入につながるかはコティの力量が問われます。 「グッチ」が輝きを保ちながらどこまで拡大するか、注目です。
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