「ドレステリア(DRESSTERIOR)」や「アルアバイル(ALLUREVILLE)」などで企画やディレクターを担当してきた田口直見が、サンエー・インターナショナルのもとで、2020-21年秋冬に40~50代の大人女性を中心対象にしたブランド「ハーヴェル スタジオ(HAVEL STUDIO)」を立ち上げる。卸販売を軸とし、有力セレクトショップや地方個店を開拓するとともに、将来的には海外展開も視野に入れる。田口が得意とする上質なベーシックと、バイヤーから引き合いが強いフォーマルウエアを充実する。
田口は19-20年秋冬に、「ローベリイテ アンド シーオー(ROBELITE AND CO.)」をメンズのODMメーカーのもとで立ち上げ、「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」や伊勢丹新宿本店など有力店を開拓。「消化率もいい」(田口)という。前ブランドは契約満了に伴い20年春夏で終了するが、「ハーヴェル スタジオ」も同様に、「大人がストレスを感じず、安心して着られる着心地、美しさ」を追求する。
ベーシックの“エッセンシャル”、モードの“コンテンポラリー”、フォーマルの“ノワール”の3ラインで構成する。商品構成上のカギとなるのは“ノワール”だ。フォーマルを意識したドレスアップアイテムは、「前ブランド時代にも非常に好評だった。バイヤーもそうした商品を探している」ことから、商品全体の45%を“ノワール”が占める。ブラックドレスやセットアップは、喪服にも対応できるフォーマルブラック染めを採用。「デザイン性も盛り込んでいるため、喪服や礼服のマナーを完全にクリアしているわけではないが、ファッションにこだわりのある世代が年齢を重ねる中で、従来の喪服とは違ったデザインへのニーズが広がっている」という。“ノワール”ラインでは他に、マリアケント社のファンシーツイードや、オリジナルレースをぜいたくに使った華やかなドレスなどもそろえる。
“エッセンシャル”では、田口が得意とするメンズウエアの要素を生かしつつ、高級シャツ地「トーマスメイソン(THOMAS MASON)」や、高級カシミヤ糸メーカー、カリアッジの糸などを使ったシャツやニット類を企画。カシミヤ100%のダブルフェースコート(16万円)も企画する。“コンテンポラリー”では、ドラマチックなボリュームシルエットが特徴のシルクのマキシスカートや、ロングジレとショートコートをレイヤードで提案するアウターなどを作った。色使いもポイントで、「ベージュやキャメルの次のベースカラーとなる」と期待している、ダスティートーンのローズやピンクベージュを充実、そこにフューシャピンクなどの差し色を加える。
価格はコート7万5000円~16万円。ドレス4万2000円~13万8000円、ニットトップス3万5000円~7万8000円。「サンエー・インターナショナルの素材調達力やスケールメリットにより、前ブランド時代よりも、価格の幅が上下に広がった」という。
百貨店やファッションビルへの出店という2軸をビジネスの核としてきたサンエー・インターナショナルにとって、卸に特化したブランドの立ち上げは今回が初。「今後は卸事業を3つ目の軸として育てていきたい」(阿部邦年・取締役事業統括本部長)といい、同じく20-21年秋冬から「スタンブリー(STUMBLY)」というウィメンズの卸ブランドも開始する。「ハーヴェル スタジオ」「スタンブリー」ともに、PRや営業代行をグループ会社含め外部に委託することで、サンエー・インターナショナルのイメージではなく、それぞれのブランドのイメージが前面に出るようにしていくという。