ビジネス
連載 齊藤孝浩の業界のミカタ

決算書に見る最強SPA「ザラ」 齊藤孝浩のファッション業界のミカタVol.01

有料会員限定記事

 企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は「ザラ」を擁する世界ナンバーワンSPA企業インディテックスの決算書に迫る。(この記事はWWDジャパン2019年4月15日号からの抜粋です)

 こんにちは。今回から決算書などをもとに私なりの数字の読み解き方とファッションビジネスの面白さをお伝えできたらと思います。

 もともと小売企業で働いていたときに経営企画などにも携わっていたので、各社の財務内容の構造には興味がありました。21世紀に入ってファーストリテイリングのような企業が現れてくるとさらに興味が高まり、2000年代後半くらいからSPAを中心に国内外の企業の決算書を見てきています。

 決算書を見ていると、企業の収益構造、つまり“考え方”が浮かび上がってきます。どんな収益構造かで企業の“体質”が表れますし、どういう手を打って、どう反映されたか、どんな状況にあるかが把握できます。

 まず、最初に見るのは粗利(売上高−売上原価)率です。そこで大まかなビジネスモデルを分類します。次にそこから営業費用(販売費および一般管理費)や減価償却費および償却費を引いた営業利益を見ます。私は営業出身ですし、投資アナリストではないので、いわゆる“本業のもうけ”を重視します。米国企業でしたら、オペレーティング・プロフィット、欧州でしたらEBITです。企業を大まかに分類する上で粗利率は見ますが、最終的には粗利率が高ければいいというものではないので、営業利益が高い所、そこを成長させている所が優秀な企業というふうに考えます。

 今回読み解くインディテックスは売上高3兆円超。粗利率が56.7%という高粗利率で、いわゆるファストファッションの典型です。そしてEBIT率は16.7%で高いレベルを維持しています。この2つの指標は特に変わりなしで良い数値が出ています。

この続きを読むには…
残り2338⽂字, 画像6枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

ZARA x ビジネスの記事

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。