プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE以下、P&G)は米国の女性向けボディーケア・シェービングブランドの「ビリー(BILLIE)」と買収合意に至ったと発表した。買収条件は明らかにされていないが、P&Gは「好調な女性向けボディーケア市場に向けた買収だ」と述べた。同ブランドは、引き続き共同創業者のジョージナ・グーリー(Georgina Gooley)とジェイソン・ブラフマン(Jason Bravman)が率いる。
「ビリー」は、2018年のブランド設立以来、女性向けとしては初となる五枚刃カミソリやシェービングクリーム、ボディーローションなどを発売し、市場に参入した。“剃りたいと思った時だけ剃ればいい”というブランドのコンセプトや、“ピンク税”(女性のパーソナルケア製品が同様の性能の男性向け製品よりも高価であるという考え)に対して行った広告や、ピンク税で生じる男性用製品との差額を差し引いた金額で発売するキャンペーンなどが注目を集めた。
「ビリー」は定期購入を通してD2Cで製品を販売する新興企業だ。ギャリー・コムビー(Gary Coombe)=P&Gグローバルグルーミング部門最高経営責任者は、「ビリー」買収について「彼らの高品質なカミソリやボディーケア製品のほか、専門的な知識などを用いれば、ミレニアルおよびジェネレーションZ世代の女性にアプローチが可能になる」と述べた。
「ビリー」買収は、近年「ヴィーナス(VENUS)」や「ブラウン(BRAUN)」、「ジョイ(JOY)」、「ジレット(GILLETTE)」などのシェービングブランドを所有するP&Gのグルーミング部門が低迷していることが要因だ。同部門は「「ハリー(HARRY’S)」や「ダラーシェイブクラブ(DOLLAR SHAVE CLUB)」などの低価格で製品を提供する新興D2Cブランドの登場により競争が激化し、苦戦を強いられている。19年7~9月期決算ではグルーミング部門の売上高は前年比2%減の15億300万ドル(約1652億円)だった。
P&Gの19年10~12月期決算は、近年苦戦を強いられていたグルーミング部門を含む全ての部門で増収だった。売上高は前年比5%増の180億2000万ドル(約1兆9400万円)、純利益が前年比16%増の37億ドル(約3996億円)だった。