大手SPA、セレクトショップ、専門店の2020年1月度の売上高(既存店ベース)は、記録的な暖冬により防寒衣料の動きが悪く、セールを含め苦戦したとの声が広がっている。春物で既に動き出している商品があるという前向きな話もあるが、2月以降はコロナウイルス感染の影響がどこまで広がるのかが読めない部分もあり、消費環境の厳しさは今後も続きそうだ。
ユニクロの国内既存店とECの合計売上高は前年同月比7.9%減。暖冬に泣かされ、19年9月以来5カ月連続の前年割れとなった。「売れるはずの防寒衣料の動きが鈍かった」(ユニクロ広報担当者)ことが苦戦の要因だが、一方で「ライトパデッドパーカ、スエットトップス、ライトスフレヤーンセーター、ロングスカートなど春物の動きは順調」という。
しまむらの主力である「ファッションセンターしまむら」の既存店売上高は同9.9%減で、同社も5カ月連続の前年割れ。「年始の福袋の販売は好調だったが、暖冬により冬物の販売が伸び悩んだ」と発表している。一方で、ミセス向けのカットソートップやティーンズ向けのパーカなど、春物の動きはよいという。
「無印良品」を運営する良品計画の直営既存店売上高は同3.9%減で、前年割れは9カ月振り。システムメンテナンスのために19年12月31日に休止していた自社ECの再開が20年1月18日まで伸びたことで、大型家具やファブリックの売り上げに響いたが、衣服・雑貨カテゴリーでは同0.8%増と微増を保った。「防寒衣料は伸び悩んだが、好調な肌着や靴下でカバーした」(良品計画広報担当者)ことがその要因。
アダストリアの既存店売上高は同1.6%減で、4カ月連続の前年割れ。冬物のセール販売は苦戦したが、「春物が動き出した中~下旬以降は、前年実績超えに転じている」とアダストリア広報担当者。春物の売れ筋はブルゾンやジャケット、薄手のニット、ショートブーツなど。
ユナイテッドアローズ(UA)は同2.9%減と19年12月に続いて前年割れ。「(暖冬を受け)10月以降さまざまな形でセールを行ってきたため、1月のセールが盛り上がらなかった」とUAの広報担当者。メンズに比べるとウィメンズが堅調であることは引き続き変わらず、春物では子どもの入園・卒園式ニーズなどでウィメンズのジャケットやブラウスが売れている。
中国でのコロナウイルス感染拡大による国内の1月度売り上げへの影響については、「訪日外国人客による売り上げ比率は高くないため、影響は軽微」(ユニクロ、アダストリア)、「ターミナル駅に出店する店舗などでは多少の入店客数の減少は見られたが、影響は軽微」(ユナイテッドアローズ)との声が中心。ただし、「2月の売り上げにどれだけ影響が出るかが見えないので不安」といった声もあがった。