イタリア・ミラノでファッション素材見本市「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」が2月4日に開幕し、イタリアを中心とした欧州企業477社が出展して2021年春夏物のテキスタイルと服飾付属品を提案している。会期は6日まで。今回の見どころは新設された「イノベーションエリア」と「スタートアップ・テキスタイル・コネクション」だ。
「イノベーションエリア」では最先端の生産プロセスを紹介。ファッション業界団体システマ・モーダ・イタリア(SMI)のハイテクおよび機能性テキスタイル部門である「テックスクラブテック(TexClubTec)」とのコラボレーションによって、各生産工程を代表する企業の主要なイノベーションを展示している。
「スタートアップ・テキスタイル」は、11のスタートアップ企業が製品、ビジネスモデル、デジタルソリューション、トレーサビリティーのツールやシステムなどを提案する。この部門は、伊テキスタイル財団とスタートアップブートキャンプ ファッションテック(startupbootcamp Fashion Tech)とのコラボで実現した。スタートアップブートキャンプは、個々の産業分野で起業の加速を図る世界有数のネットワークだ。
「地球は危機的状況、
コストを伴うが業界全体が
負担と責任を負うべき」
4日に行われたオープニングセレモニーで登壇した「ミラノ・ウニカ」会長のエルコレ・ボット・ポアーラ(Ercole Botto Poala)=レダ(REDA)社長は、「今、産業にとって2つの大きな打撃がある。政治や経済の情勢不安に加え、新型コロナウイルスの感染拡大とオーストラリアの森林火災だ。われわれは今、公衆衛生でも国際貿易でも重大なリスクを抱えている状況にあり、そうした中でわれわれができることは、よりいっそうのサステナビリティの追求だ」と語る。
また、サステナビリティに加えて創造性の重要性についても言及したうえで、「これからのテキスタイルは製品の認証だけではなく、全生産工程の認証によって価値が測られるようになるだろう。サステナビリティを数値化して目標を設定すべきだ。決して容易なことではなくコストも伴うが、業界全体が負担と責任を負うべきであることを認識しなければならない」と語気を強める。
またボット・ポアーラ会長は、自身の任期が今期で終了することも発表した。同会長は、「ミラノ・ウニカ」がサステナビリティ推進に大きく舵を切ることになった立役者であり、秋冬展としては遅いといわれている9月の開催時期を7月に早めるなど、市場ニーズにいち早く対応した人物でもある。後任は毛織物の老舗として知られるヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VITALE BARBERIS CANONICO)社社長でイデア・ビエッラ(Idea Biella)会長のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ(Alessandro Barberis Canonico)氏。
なお、新型コロナウイルスの影響で、毎シーズン来場しているプレス関係者など中国人の姿はない。イタリア政府が中国を結ぶ航空便を停止させたことで、渡航が困難になったためのようだ。