※この記事は2019年8月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
NYコレクションのマスト
アナ・ウィンター(Anna Wintour)を題材にしたミュージカルコメディー、なんとニューヨーク・コレクション取材の出張期間中に上演するじゃあ〜りませんか!コレは、行くしかない(笑)‼︎アナを演じるのは、コメディー俳優ライアン・ラフタリー(Ryan Raftery)。「エレベーターで1度だけ会ったことがある」というアナを、きっとテキトーに、小バカにしながら演じるのでしょう(笑)。アナには申し訳ないけれど、ワクワクします(笑)。
NYコレクションに通うようになって数年が経ちますが、毎シーズン、基本最終日の夜にはブロードウェイのミュージカルを見るようにしています。予約するのは、だいたい数日前。正直ちょっと高くつくのですが、ギリギリまで粘るのは、ワケがあります。それは、「ランウエイで見つけた新たな価値観を、ショービズの世界はどう表現しているのか?」を覗き見たいから。だから全体の傾向がわかるまで、ミュージカルのチョイスは保留にするんです。
例えば1年前、ダイバーシティー(多様性)やインクルージョン(包摂・包括性)の価値観が花開いたことを確認したシーズンに見たのは、「Head Over Heels」という作品。お姫様と羊飼いの恋、太った皇女と有色人種の召使いによる同性愛、そして王様から女王様への禅譲。さまざまな登場人物が、カオスに入り乱れるコメディーを通し、いろんな価値観と既成概念にとらわれないコミュニティーの形を訴えます。
半年前に鑑賞したのは、「Dear Evan Hansen」です。ツイッターで何気なくウソを投稿したら、その話がドンドン大きくなってしまい、後戻りできなくなって、戸惑う内気な少年の物語です。NYのデザイナーから「インスタ疲れ」とか「フェイク」なんて言葉が出てきたタイミングでした。
ランウエイ上の価値観がショービズ、特に興行成績が重要なブロードウェイにまで広がっていることを知るのは、その価値観がどれほどパワフルか、将来パワフルになるのかを知る手掛かりになると思っています。また、その描かれ方を見ると、何を訴えれば共感してもらえるのか、もしくは、その価値観の異なる解釈のヒントをつかめる気がするんです。
ということで今回の出張も、ブロードウェイを堪能しようと思います。冒頭のアナ・ウィンターのコメディーは、出張初日の夜に観に行くとして、最終日の夜はどうしよう?1年前は「マーク ジェイコブス」のショースタートが1時間半も遅れてドキドキしたものです。今回はオンタイムで始まることを祈ります(お願い!マーク‼︎)。
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