米国の化粧品市場ではメイクアップカテゴリーの売り上げが落ち込む一方で、スキンケアカテゴリーが拡大している。
米市場調査会社エヌピーディー・グループ(NPD GROUP)の調査によると、米国におけるプレステージ化粧品の2019年の売り上げは188億ドル(約2兆304億円)だった。そのうちメイクアップが最も大きな割合を占める76億ドル(約8208億円)、次いでスキンケアが59億ドル(約6872億円)だった。
全体の売り上げは前年並みとなる中、メイクアップが前年比7%減と縮小し、一方でスキンケアが同5%増、フレグランスが同2%増、ヘアケアが同16%増と最も高い伸び率を示した。
エヌピーディー・グループによると、メイクアップ売り上げの減少は全体的にメイクアップ製品の使用自体が減っていることによるもので、2~3年で回復するだろうと同社のビューティ産業のアドバイザーを務めるラリッサ・ジェンセン(Larissa Jensen)副社長は指摘する。
「“ナチュラル”が多くの産業、とりわけビューティ業界で一大バズワードとなっている。ビューティ製品においては、成分はよりナチュラルなものが使われるようになってきている。この流れにメイクアップがどのように応えるかが今後の再興の鍵を握る」とジェンセン副社長は話す。「当社のデータを振り返ると、4~5年おきにメイクアップとスキンケアのトレンドが入れ替わっていることが分かる。それに基づくと、17年に始まったメイクアップのダウントレンドは今後1~2年で終わると予想される」。
同調査によると、ナチュラルスキンケアブランドはプレステージスキンケア市場の30%を占める。ナチュラルスキンケアの売り上げは同14%増と伸長し、クレンザーやモイスチャライザーのほか、アクネトリートメントやブライトナー、肌の古い角質や汚れを取り除くエクスフォリエーター、リップトリートメントなど目的に特化したアイテムがけん引した。
フレグランスカテゴリーではパルファムとオードパルファムがけん引し、45億ドル(約4860億円)に達した。アーティザナル製品と呼ばれるいわゆる職人技で作られたフレグランスの伸長が著しいが、トップランクのデザイナーズブランドが引き続き最も大きな売り上げを生んでいる。