セレクトショップを運営するユナイテッドアローズ、ベイクルーズ、ビームスの大手3社は1月28日、各社の販売員を対象とした勉強会をベイクルーズ本社で開催した。この勉強会は昨年8月に続く2回目。業界全体で販売員の価値向上を目指すため、ライバルである3社が合同で立ち上げた。
各社の接客のノウハウを共有した前回に対し、今回のテーマは“次世代の販売員育成を考える”。現場で後輩指導に関して苦労しているという声が多かったからだという。「教育にはこうすればうまくいくという正解はない。世代がどうこうではなく、教える側が自分に矢印を向け考えて欲しい」と話すのは、ビームス人事本部 人材開発部の長谷勝幸係長だ。「各社のノウハウが自分のお店で成功する場合もあれば、上手くいかない場合もある。教える側が自分なりにアレンジして考える機会にしてほしい」と続ける。
勉強会には育成に携わる販売員をメインに、各社40人ずつ120人が参加した。接客のエキスパートとして、ユナイテッドアローズから高橋功さん、ビームスからは松本理恵子さん、ベイクルーズからは福原育子さんが登壇し、座談会形式で育成に必要な要素や技術を伝えた。
匿名の質疑応答サービス「ハンズアップ!(handsup!)」を用い、参加者は匿名でスマホから登壇者に質問できる環境を作った。その時の質問は、後日登壇者本人が返信する。例えば、「どんな風に10褒めて1指摘しているか?」の質問に「些細なビジュアルの変化、接客の良かった点など細かく日常的に褒めている」、「辞めるが口癖の後輩との接し方に悩んでいる」の相談に「『辞めたい』思いにかんしては止めないがその思いに至った経緯をとことん聞く」、「自分よりも社歴の長い人が後輩の場合は?」の質問に「人としての敬意を示すことが大前提だが、仕事においては意識しない」など。また、参加者は各社1人ずつ3人1組がチームとなり、意見を交換した。
ベイクルーズの江藤佳子人財統括人財活躍・支援Div. 支援・育成Sec.マネジャーは、「他社の話を聞くことで、自分たちの会社らしさ、強みを改めて感じることができる。前回も勉強会を動画に残し配信した。知識を広めるという仕組みは今後も続けていきたい。今後も育成を通して販売員の価値向上を目指す」と話す。ユナイテッドアローズの五十嵐保行販売支援部教育チームは「他社の違った事例を聞くことで違った視点で違った接し方もできるはず。今は自店だけ、自社だけという時代ではない。他社と切磋琢磨しながらレベルアップしなければ、小売りがどんどんダメになる。今後もこの取り組みが1社2社と広がっていけばいい」と期待する。