第3回「WWDビューティ ヘアデザイナーズ コンテスト」の入賞者が決まった。第1回と2回は資生堂所属のヘア&メイクアップアーティストが連覇したが、今回は福岡のサロンオーナーがその3連覇を阻みグランプリに輝いた。
同コンテストの最大の特徴は、審査の対象がヘアデザインだけでなく、メイクやファッションも含めた“トータルバランス”であることだ。そのため、ヘアサロン業界に多数ある他のコンテストとは審査の基準が異なっている。
審査員を務めた原田忠資生堂トップヘアメイクアップアーティストも「ヘアデザイナーを対象にしたコンテストでは、ヘアに重点を置いてテクニックを見せたがる傾向が強い。しかしこのコンテストに関しては、テクニックを見せるより、テクニックをあえて強調しないところに力を入れながら、ファッションなどでトータルに表現することがポイント」と語っている。
同じく審査員を務めた奈良裕也「シマ ハラジュク(SHIMA HARAJUKU)」アートディレクター兼クリエイティブスタイリストも「いろいろな美容系の審査員をしているが、このコンテストはよりファッションに近い作品が集まっていて、しかも第1回よりもそうした作品が増えていて良い傾向だと思う。今回の作品もすごく見応えがあって、とてもおしゃれな作品が多くて良かった。『WWDビューティ』のコンテストでしかできない作品がもっと出てくるといいなと、次回も楽しみにしている」と話す。
コンテストの審査基準はさまざまだが、某大手美容ディーラーが主催するコンテストは、「審査対象は“ヘア”と“メイク”と“ファッション”で、その比重は全体を10とすると、ヘアが9で、メイクとファッションを合わせて1くらい」と担当者が話していた。その比重でいうと、「WWDビューティ ヘアデザイナーズ コンテスト」の場合はヘアが4、メイクが3、ファッションが3くらいだ。
つまり、ヘアデザインが満点で、他のコンテストでは優勝できるレベルだったとしても、「WWDビューティ ヘアデザイナーズ コンテスト」では100点満点中40点でしかない。そう考えると、他のコンテストとは考え方を大きく変えて臨むことが必要だ。
数年前から“トータルビューティ”をうたうコンテストは増えてきたが、それでも結果的にヘアを中心とした審査になっているケースは多い。それは、ヘアに特化して追求し、日本のヘア文化を作ってきた業界だからだ。その点、当コンテストは創刊40年以上になるファッションの「WWDジャパン」と、トレンドメイクとヘアを専門的に10年以上追い続けている「WWDビューティ」が背景にあるため、ある意味“アウトサイダー”だが、ヘア・メイク・ファッションを同じ深さでジャッジできる。
第4回は、そうした背景と審査基準を踏まえた上での応募作品に大いに期待したい。