米百貨店のメイシーズ(MACY'S)は2月4日、今後3年間で125店舗を閉鎖し、およそ2000人の人員削減を行うことを発表した。
同社は現在、百貨店業態のメイシーズとブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE'S)を680店、アウトレットやディスカウントストアなどを190店構えている。閉店するのは主に集客力の低い大型ショッピングモールに入っている不採算店で、すでに閉店手続きを開始している30店を含めた125店の年間売り上げはおよそ14億ドル(約1512億円)。ここ数年はアマゾン(AMAZON)をはじめとするECの台頭によって消費者動向が変化し、実店舗を主力とする同社は売り上げが低下していた。それに加えて、ノードストロム(NORDSTROM)などの競合する百貨店やスーパーマーケットチェーンのターゲット(TARGET)にも客を取られていた。
メイシーズは1994年から本社機能をニューヨークとオハイオ州シンシナティに置いてきたが、これをニューヨークに統合する。IT関連部門の拠点はサンフランシスコにあるが、それもニューヨークに移転する。なお、削減される2000人は従業員の9%程度に当たるという。店舗や本社機能の合理化により、同社は2020年に6億ドル(約648億円)、22年までに年15億ドル(約1620億円)のコスト削減を目指す。
また新たな施策として、新業態のマーケット・バイ・メイシーズ(MARKET BY MACY’S)を打ち出した。これは従来のメイシーズよりも小型の店舗で、メイシーズの製品とともに地元の製品や食品を取り扱う。住民が楽しめるようなイベントも開催するとしており、より地元に密着した店になるという。まず2月6日にテキサス州ダラスにオープンし、好調であればライフスタイルセンター(ショッピングセンターにレジャー施設やレストランなどが併設された、より高級志向の商業施設)に出店していく。
ジェフ・ジェネット(Jeff Gennette)=メイシーズ会長兼最高経営責任者は、「事業の健全な部分にリソースを集中し、そうではない部分にメスを入れる。この新たな3年計画を実施しながら、新たな収入源も探していく。20年は利益を安定させ、持続的な成長の基礎をつくる年だと考えている」と語った。
同社が同じく4日に発表した20年1月通期決算の速報値では、売上高は前期比1.6%減の245億ドル(約2兆6460億円)だった。正式な通期決算は2月25日に発表する。なお、20年度(21年1月通期)は236億~239億ドル(約2兆5488億~2兆5812億円)になると見込んでいる。