「皆さんに謝らなければならないことがあります。これまでZOZOは暖冬と増税を業績不振の理由にしたことがありませんでした。実際に影響がなかったからです。しかし、今回はそう言わせてください」――1月31日金曜日午後5時に始まった決算説明会は、柳澤孝旨副社長兼CFOのこの説明から始まった。2019年10〜12月期のサイト上の流通額を示す商品取扱高(GMV)は前年同期比0.3%増の942億円、営業利益は同42.0%減の61億円という減益に、アナリストたちからの評価は散々で、SMBC日興証券の金森都シニアアナリストは「1ケタ成長への減速懸念は持っていたが、1ケタどころか無成長と言えるほどの減速でネガティブサプライズ」と切り捨てた。週明け2月3日のZOZO株は前日比で240円安の1582円と大幅下落。時価総額は5000億円を割り込み、ピークだった18年7月18日の1兆5052億円と比べると3分の1にまで落ち込んだ。(この記事はWWDジャパン2020年2月10日号からの抜粋です)
昨年9月12日に突然トップのバトンを創業者の前澤友作氏から渡された澤田宏太郎社長兼CEOにとって、19年10〜12月期決算はいわば新体制でのデビュー戦。しかし、暖冬と増税、さらにはPGAゴルフツアー「ZOZOチャンピオンシップ」と「バスキア展」の大出費という前澤氏の“置き土産”まで重なり、同社がZOZOイヤーと位置づける2020年は散々な船出となった。
大幅な営業減益は一過性のPGAツアーなどの大型プロモーションが理由だが、より深刻なのは商品取扱高の急減速だ。アパレル企業にとってコートなどの高単価の重衣料が売れる10〜12月は1年で最も出荷単価が高く、実際に売り上げのボリュームも大きい。にもかかわらず商品取扱高は同0.3%増とほぼ横ばい、売上総利益は同1.7%減、売上総利益率は同0.7ポイント低下の33.4%にとどまった。ZOZOは2月と10月に大型物流倉庫を新設予定で、物流施設の人件費の高騰も続く状況を考えると、商品取扱高の成長の鈍化は採算の急激な悪化を招きかねない。「暖冬と増税で商況が芳しくなく、効率性を重視するためウェブ広告はあえて抑制した」(柳澤CFO)とは言うものの、予測のできない暖冬はともかく、増税に関しては何か話題性のあるコラボレーションなど、手を打つべきだった。
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