2020-21年秋冬のニューヨーク・コレクションが佳境を迎えております。日本では新型肺炎の感染が拡大していますが、NYでは市民の生活にそこまで大きな影響は出ていない模様。しかし、NYコレとしては大きな変化が……!中国のバイヤーやジャーナリストの姿をあまり見かけないのです。中国のバイイングパワーや生産パワーに拠っている部分が大きい昨今の世界のファッション産業、一体どうなっちゃうんでしょうか。などといったことも考えつつ、NYコレ4日目のダイジェストをどうぞ!
フィービーロスな大人女性も歓喜!絶好調「ザ・ロウ」の上質エレガンス
4日目は、オルセン姉妹による「ザ・ロウ(THE ROW)」から日記スタート!こちらのブランド、伊勢丹新宿本店3階のバイヤーが「19-20年秋冬に伸び率が最も高かったブランド」にあげており、現在絶好調です。以前は「コート1着50万円から!」って感じでしたが、このところウエアも雑貨ももう少し買いやすい商品(バッグで10万円前後など)も出していて、クリエーションが素敵なのはもちろん、ビジネスの舵取りも巧みでございます。今季のショーは、ビバリー・ペッパー(Beverly Pepper)さんという、先日亡くなられたアメリカの女性アーティストの彫刻などが置かれた空間で実施。会場に漂うインテリジェンス濃度の高さは、確実にNYコレいちです!チャコールグレーやブラウンのワントーンで見せる、上質なリラックスエレガンスにうっとり。フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が表舞台を去り、何を着ていいかが分からなくなっているかつての「セリーヌ(CELINE)」ファンにも、ドンズバではまるブランドだと思います。
「ザ・ロウ」2020-21年秋冬ショーから
“ギャル度”はNYで一番!「アリス アンド オリビア」であげぽよ~
「アリス アンド オリビア」2020-21年秋冬プレゼンテーションから
グランドスラム優勝後に「アディアム」を着た大坂選手が見たい!
「アナ スイ」先生ご乱心?よろしくお願いしますよ先生!
20年3月末で三越伊勢丹ホールディングス(HD)がファッション事業を終了すると発表し、世の中をザワつかせた「アナ スイ(ANNA SUI)」。コスメは今後も継続とのことですが、「この先このブランドはどうなっちゃうのかしら!」などと思いながらショーを鑑賞。……が、ダークファンタジー&ゴスな照明により、服も化粧もほぼ見えず!ブランドの行く末を暗示しているかのように感じちゃったんですが大丈夫ですか?大丈夫じゃないですよね?帰りの地下鉄でヘアメイクがショーそのままのモデルを見て、初めて「ああ、こういう化粧だったんだな」と分かる始末。とは言え、熱烈なファンがしっかりといるブランドですので、アナ先生くれぐれもよろしくお願いしますよ!!
「アナ スイ」2020-21年秋冬のショーから
レッドカーペットの常連「オスカー デ ラ レンタ」にもう1パンチを期待
本日のトリはアメリカンクチュールの「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA、以下、オスカー)」。会場はブライアントパークにある公共図書館の回廊です。先日のアカデミー賞でも、スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)女史などが「オスカー」を着用し、ゴージャスな美を振りまいていましたが、そんな伝統あるレッドカーペットブランドをディレクションするのは、初日にショーをした「モンス(MONSE)」を手掛ける(比較的)若いデザインデュオ。16年に彼らがディレクターに就任し、伝統あるブランドをモダンに昇華することを目指してきたと思いますが、やはり大胆に変えるのは難しいのかも?2年半前にショーを見た時はより挑戦的でモダンな方向へと模索していたように感じたので、今季の安心感のある(=ややコンサバ)華やかなドレス群を見て、もう1パンチほしいようにも感じました。色使いや柄はかなり派手で、その点はなかなか攻めているんですけどね。が、このブランドの顧客が求めるものはまさに安心感のある華やかさだと思うので、これが正しい姿なのかも。
「オスカー デ ラ レンタ」2020-21年秋冬ショーから