※この記事は2019年10月8日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
完璧じゃないから始めない、では始まらない
2020年春夏パリコレが終わりました。10日間の取材中、いったい何度“サステナブル”という言葉を聞いたことでしょう!もちろんこれまでもサステナブルな取り組みを行うブランドは多くありましたが、これまでとは話題の量、それぞれの熱量が違います。一部の熱心なブランドの取り組みではなく、ファッションウィークのど真ん中の話題でした。
先に開かれた2020-21年秋冬ファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(Premiere Vision以下、PV)」の会場では、「サステナビリティの認証がないと買わない」と言い切るラグジュアリー・ブランドも登場したそうで、今後サステナブルはファッションビジネスのメインストリームになると言っても過言ではありません。
特にLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)がグループをあげてサステイナブルに関するメッセージを掲げたインパクトは大きく、初日の「ディオール(DIOR)」と最終日の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は演出を通じて地球環境保護の姿勢を示しました。両ブランドとも服は必ずしもサステナブル素材に限りませんが、まずはショーで使う資材から取り組みを開始し、積極的に世にアピールしました。
今後企業活動で不可避となるサステナについて思うことは、“完璧じゃないから始めない、では始まらない”です。日本企業は国民性もあってか、“人様の目に触れて恥ずかしくないものに仕上がるまでは世に出さない”風潮が強いと思います。誇り高きプロフェッショナルの意識は、これまで日本のモノづくりを支える価値観でしたが、ことサステナについては大胆な意識改革がマスト、しかも急務!ですね。
企業がサステナに取り組むきっかけの多くは正直、企業ブランディングの一環だと思います。中国政府の「ごみ輸入の原則禁止」など政治や法に背中を押されてやむを得ずかもしれません。ある意味きっかけはそれでもいいと思うのです。でも、その後は本気じゃないと続かない。完璧じゃなくてもいい、動き出し、動きながら軌道修正していくべし、です。
アマゾンの大規模火災と、9月23日にニューヨークで開かれた「気候行動サミット」 でのグレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんの演説は明らかに大人たちにお尻に火を着けました。「グレタさんの演説に違和感」などつべこべ言っていないで、火がこれ以上燃え広がらないうちに、動き出しましょう。
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