2月11日に開幕したパリの大型ファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION以下、PV)」を、新型コロナウイルスが直撃した。1755社が2021年春夏向けのテキスタイルを中心に糸、レザー、資材、図案、縫製などのカテゴリーに分かれて出展しているが、縫製カテゴリーは97社の出展者の大半が中国企業のため、会場のホール2を一つ丸ごと閉鎖した。その他のテキスタイルや糸、資材などでもブース自体のない場所が点在している。PVの運営当局は出展を取り止めた企業について13日、中国企業111社のうち45社が取りやめたと公表した。
ブースに生地サンプルがない
中国のある有力テキスタイルメーカーのブースにはサンプルが一切なく、ブースに立つのは欧州の契約エージェントが2人。英国のエージェントの女性は「中国からスタッフが渡航できず、通常そろうはずのテキスタイルサンプルはない。急きょ中国から送られてきた見本帳で対応している」と話す。その他の出展がかなった中国テキスタイルメーカーのブースでも、サンプルの数は少なく、ブースに立つのは欧州のスタッフが目立った。
中国からの来場者の姿はほとんどなし
来場者数も目に見えて少ない。中国からの来場者の姿はほとんどなく、アメリカやイタリアのメーカーも中国、香港、台湾のスタッフの渡航を取りやめるといった措置を取っているという。主催者であるPVの中国担当スタッフの姿もない。
中国以外の企業も、多くの人が集まるトレードショーはリスクがあると渡航を取りやめたところも多いようだ。ある出展社からは「北欧ブランドが急きょとりやめた」とも聞いた。
PVとしての提案は「握手やハグは控えましょう」
会場には「健康のために握手やハグは控えましょう」という看板が立てられ、また空きブースはないものの、出展を取りやめた企業のスペースを用いて、通常はほとんどない椅子とテーブルを置いたレストスペースが複数設けられている。