新型コロナウイルスの被害が拡大していることを受け、3月26日から開催される予定だった上海ファッション・ウイークと、同月25~31日に北京で行われる中国ファッション・ウイークの延期が発表された。新たな日程については中国政府や関係者の間で調整されているが、いずれもまだ発表されていない。
上海ファッション・ウイークは、中国の豊かな人材と巨大な消費市場を背景にその存在感を増してきており、会期中にはアジア最大級のファッション展示会も開催される。昨シーズンは7つの公式ショールームや展示会なども合わせておよそ1700のブランドが参加した。一方の中国ファッション・ウイークは、世界のファッション業界における中国の存在感を高めるため、海外で通用する若手デザイナーを発掘することを主な狙いとしている。
新型コロナウイルスの影響はこれだけではない。2月24~3月3日に開催されるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)でショーを行う予定だった中国のブランド、「マーシャ・マ(MASHA MA)」「シャッツィ・チェン(SHIATZY CHEN)」「ユマ ワン(UMA WANG)」「ジャレル ザン(JAREL ZHANG)」「カルバン ルオ(CALVIN LUO)」「メゾン マイ(MAISON MAI)」が参加を取りやめた。
パリコレを運営するフランスのオートクチュール・プレタポルテ連合協会(La Federation de la Haute Couture et de la Mode)は、「これら6ブランドが発表する予定だった作品を披露できるように、当協会のデジタルプラットフォームなどを最大限に活用する」とコメントした。ハリー・ワン(Harry Wang)=シャッツィ・チェン最高経営責任者は、「慎重に検討した結果、最も適切だと思われる行動を取った。さしあたり、新たな方法でコレクションを発表することに集中する」と語った。
2月18~24日開催のミラノ・ファッション・ウイークでも、中国の新進デザイナー8人が参加をキャンセルしたほか、中国からのバイヤーやプレスが渡航および入国制限措置などにより来場できないことが予想されている。同イベントを運営するイタリアファッション協会(Camera Nazionale della Moda Italiana)は、こうした中国のファッション業界関係者がオンラインで参加できるように、「チャイナ・ウィー・アー・ウィズ・ユー(China, we are with you)」プロジェクトを立ち上げた。会場では、参加を見送った中国人デザイナーのインタビューをライブ配信するほか、その作品をビデオ投影する。バイヤー向けには、参加デザイナーのインタビューやショーのライブ配信を行い、専用のソーシャルメディア・プラットフォームでコレクションについてコメントできるようにするという。
またインド・バンガロールでは、アジアのアパレルメーカーやブランド、小売業が多数参加する見本市「アパレル・ソーシング・ウイーク(Apparel Sourcing Week)」が2月20~22日に開催される予定だったが、やはり新型コロナウイルスの影響のため6月18~20日に延期すると主催者が公式サイトで発表した。会期中のセッションには、ナイキ(NIKE)や香港の大手商社リー&フォン(LI & FUNG)などの経営陣が登壇する予定だった。