モンクレールの2019年12月期決算は売上高が前期比14.6%増の16億2770万ユーロ(約1953億円)、営業利益(EBIT)は同14.8%増の4億7543万ユーロ(約570億円)、純利益は同8.7%増の3億6151億ユーロ(約433億円)の増収増益だった。
地域別ではイタリアが同10.2%増の1億8498万ユーロ(約221億円)、イタリアを除く欧州・中東・アフリカが同13.7%増の4億6353万ユーロ(約556億円)、南北アメリカが同15.5%増の2億6394万ユーロ(約316億円)、アジアとその他地域が同16.0%の7億1524万ユーロ(約858億円)だった。香港は7月以降、デモの影響と旅行客減で不振だったが、中国と韓国が10〜12月期に大きく伸長した。
「19年も非常に良い業績を達成した」とレモ・ルッフィーニ会長兼最高経営責任者(CEO)。しかし、新型コロナウイルスの発生で状況は大きく変わった。1月23日に新型コロナウイルス発生が公表されるまで中国の業績は前年同様の好調ぶりだったが、中国内の3分の1の店舗を閉め、客足は8割減だという。韓国の免税店5店も閉めており、中国で予定していた3店の移転を21年まで延期し、2店のオープンも延期することを決めた。また、中国にある物流拠点の関連で、ECにも影響が出ている。
利益を守るため、費用を削減したり、さまざまに努めているという。「事態は非常に深刻で予断を許さない。香港の家主は賃料の値下げ交渉に応じようとしようとしないが、中国は事態の深刻さを理解している」とルチアーノ・サンテル=チーフ・コーポレート&サプライ・オフィサーはコメントした。
ルッフィーニ会長兼CEOも「われわれは予期しなかった事態に直面している。しかし、たとえ手に負えない事態であっても、われわれはそれに長期的展望と柔軟性をもって対応できるだろう。それこそがわれわれの強みだ」と語った。
売上高の10%未満を占める「モンクレール ジーニアス」については、ブランドに対する憧れを高め、アウター70%、ニット20%、その他10%で構成。“ほぼ理想的”といえる役割を果たしているという。当初「ジーニアス」購入者の半分が「モンクレール」も買っていたが、2年経った現在、66%が両方を買っているという。また、「モンクレール」購入者の半分がYおよびZ世代だが、「ジーニアス」はその3割増しだという。
なお、ケリングがモンクレール買収の交渉をしていると報じられたことについては、「何の話し合いもしていない。いろいろな可能性をさまざまな人たちと模索しているが、何もニュースはない」とルッフィーニ会長兼CEO。ケリングも買収話を否定している。