アシックスの2019年12月期連結決算は、売上高が前期比2.2%減の3780億円、本業のもうけを示す営業利益は同1.1%増の106億円で、為替影響を除くと売上高は同1.6%増となるため、5年ぶりの増収増益となった。営業利益は、広告宣伝費を前期から30億円増やしたものの、前期から取り組んでいる構造改革や不採算店舗20店の閉店、ECの売り上げが76%増と好調に推移したため4年ぶりの増益につながった。
カテゴリー別では、「アシックス(ASICS)」の主力のランニングシューズと「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」が売り上げをけん引。ランニングシューズの売上高は同0.4%減の1701億円だったものの、為替影響を除くと同4.4%増の1781億円と復調。苦戦が続いていた北米エリアの底打ちに加え、高い走行効率を打ち出す注力モデル“メタライド(METARIDE)”“グライドライド(GLIDERIDE)”の好調や、専門店のサービス拡充などが奏功した。
日本や東アジアで好調の「オニツカタイガー」は売上高が同6.3%増の455億円、営業利益が同10.1%増の83億円。インフルエンサーを活用したデジタルマーケティングが直営店やECでの売り上げ拡大に寄与し増益となった。
エリア別の売上高は、日本が同2.3%増、現地通貨ベースで北米が同1.2%増と復調した一方、欧州は同3.7%減と苦戦。EC化が進む流通に対応するとともに、「オニツカタイガー」の大型店をロンドンやミラノに開いて対策を進める。
20年12月期は、公式スポンサーを務める東京オリンピック・パラリンピック関連のグッズの売り上げを200億円と想定し、カーボンプレート内蔵のランニングシューズなど主力商品をさらに充実させて売上高は同5.8%増の4000億円を目指す。しかし営業利益は当初の増益予想を見直し、中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスの影響なども考慮して同15.4%減の90億円を見込む。廣田康人社長COO(最高執行責任者)は「現在は中国にある140の直営店の約6割が閉店している状態。インバウントにも影響が考えられるため、マイナスは出るだろう」と危惧する一方、生産体制については「シューズはベトナム、アパレルは日本に生産拠点の移行を進めており、対応の目処はたっている」とした。