ファッションブランドと同様にラグジュアリー化粧品ブランドは、好調化粧品業界においても確実に売り上げを伸ばしています。スイス発「ラ・プレリー(LA PRAIRIE)」もその一つで、2019年は前年比10%増の成長を遂げたと言います。今年もその成長を続けるため、ほかの化粧品ブランドとは一線を画した戦略で富裕層を含めた顧客の囲い込みを図る狙いがあるようです。その戦略とはアートを軸にした取り組みです。
「ラ・プレリー」は2月21日に目元用クリーム「イルミネーティング アイ エクストラ オーディネア」(20mL、6万900円)を発売します。アイクリームでこの価格には驚きましたが、これは「ラ・プレリー」が15年もの歳月を掛け、5万もの分子の中からたどり着いた新成分(整肌成分)のルミドースと、肌を引き締めるゴールデンキャビアエキスを配合した贅を極めたアイクリームということからも納得です。「光」の原則に着想を得て、滑らかな使い心地で肌をみずみずしく潤いで満たしながら、目元の肌にハリをもたらしてくれます。富裕層には響くアイテムに違いありません。
このほど行われた発表会では、「光をまとい、輝きの際立つ目元へ」というところから、“サイエンスとアート”にフォーカスしたプレゼンテーションが東京・六本木の国立新美術館で行われました。登壇したメディアアートを中心とするキュレーターの四方幸子氏は、「光なくしてアートは存在しない」と述べますし、その光について、「ラ・プレリー」イノベーション・ディレクターのダニエル・スタングル博士は、「光は美を浮き上がらせる」と、その関係性について語ります。そもそも「ラ・プレリー」のグローバルでは、17年から香港、マイアミで開催されている「アート・バーゼル(Art Basel)」に協賛しており、またグローバルのインスタグラムでのアートに導く発信は、結びつかないと思っていたビューティとアートが深いつながりがあると感じます。
竹澤隆史社長は、日本でのアートの取り組みについて「ここ国立美術館で発表会を行ったことが第一歩」と言います。昨年までの好調は「インバウンド需要が大きく、シェアも3割を超えた。ただ新型コロナウイルスによる影響は否めない」と述べましたが、今年はラグジュアリー化粧品ブランドとして「外商やハイエンドジュエリーブランドとの協業も視野に、日本人富裕層を中心にアートの世界観を発信していく」と語ってくれました。