※この記事は2019年12月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
フィービーの服を5センチ丈直ししたら
地元に信頼できる服のお直し屋さんがあり度々駆け込んでいます。職人さんとの服談義が楽しいという理由もあります。先日はフィービー・ファイロ時代の「セリーヌ(CELINR)」のスカートの裾の丈出しをお願いしました。約10年前に購入し生地が良いのでくたびれてはいないのですが、今着るには丈が少し短く登場回数が激減していました。お蔵入りってやつですね。
仕上がりとともに、彼女(職人さん)は「このお直しは楽しかった〜。仕立てが良い服って直すのも楽しいのよね」とうれしそうに教えてくれました。彼女いわく、その「セリーヌ」は「将来的にお直しをすることを前提として仕上げられている」というのです。裾の折り返し部分にも裏地が配されていること、表地に縫い目が出ないように裏地だけに針を通してまつり縫いをしていることなどがその理由です。だから、丈出しをしても裾に違和感はありませんでした。
これって今の言葉で言えばサステナブル、捨てられない服ですよね。デザイナーたちが「捨てられない服を目指す」と言う時は、デザインだけではなくこういった仕立ての配慮もあるのだと思います。職人の彼女が説明をしてくれなければ、単純に「丈を出せてよかった」で終わっていましたが…。
同じタイミングで「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のシルクのワンピースも直しに出しました。今年5月にミスター・アルマーニが来日した時に張り切って購入したものです。パーティーの時はよかったけど、日常的に着るには私の胸にはVゾーンが深すぎ。これまたお蔵入りしそうだったので胸元を少し詰めてもらいました。
こちらについて彼女は「できればやりたくなかった」と告白しました。「この服はドレープが命。パターンもカッティングもドレープをいかに美しく出すか計算されているのがわかるから、Vゾーンを詰めることでドレープの美しさを壊しそうで怖かった」からだそうです。(結果うまいこと処理してくれました。)服の仕立てって見る人が見るとホント奥が深いですね。
こんな風に服へ愛情を持って接してくれる職人さんが地元にいることはラッキーです。ずっと着る服、捨てたくない服。今後その考え方が益々大切になる中、彼女みたいにお直しに長けた人もまた重要な存在になりそうです。
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