メルカリ(mercari)は2月20日、初となる事業戦略発表会「メルカリ カンファレンス 2020」を開催した。新型コロナウイルスの影響で、同社のパートナー企業に対してはライブ配信での実施となった。山田進太郎メルカリCEOは「2020年6月期は『メルカリ』日本事業と米国事業、そして『メルペイ』にとって勝負の年と位置付けている。メリカリはこれまで、個人のお客様をエンパワメントしてきた。これからはメルカリの持つ二次流通ならではの強みを生かし、一次流通をはじめとしたパートナー企業とのビジネスをエンパワメントする存在として進化させていきたい」と語る。
同発表会ではメルカリの中核を担う「メルカリ」日本事業の戦略に焦点を当てた。コンセプトを“コネクト”に据え、複数企業との連携を通じた出品施策の拡大と、データ連携を通じた一次流通と二次流通の融合を行っていくという。
出品施策の拡大に関しては、同社初となるリアル店舗「メルカリステーション」のオープン、梱包や発送を代行する「あとよろメルカリ便」のスタート、そして無人で発送可能な投函ボックス「メルカリポスト」の設置の3つが主軸だ。「メルカリステーション」は「メルカリ」の使い方を学べるメルカリ教室のほか、商品の撮影、出品、梱包、発送までを一気通貫でサポートする体制を整える。丸井と提携し、一号店を新宿マルイ本館に春に出店。今後はマルイ全店への拡大を計画し、21年の夏までに全国主要10都市での店舗オープンを目指す。丸井の青木正久社長は「丸井では現在、お客さまに体験を提供する“売らないお店”づくりを推進しているほか、10年からはマルイ・モディで不要な衣料品の回収を行っている。メルカリの取り組みは、当社が考える店舗戦略とも多くの点で合致していた。『メルカリ』の商品の受け取りや発送のみならず、梱包作業などのサポートを丸井グループ社員が行う計画だ」と説明する。
「あとよろメルカリ便」は、オープンロジと提携し、同社の提携倉庫で「メルカリ」出品商品の管理や保管、梱包、発送を代行するサービスだ。一部の出品者に向けて2月からサービスを試験的に実施している。ユーザーの「商品が売れるまで家の中で場所を取って困る」「売れた後の梱包・発送が面倒」といった声に対応するために生まれたという。
「メルカリポスト」は、ヤマト運輸が集荷のパートナーだ。出品商品が売れた後にアプリ上で表示されるQRコードをかざすと自動で発送ラベルを印刷。後はラベルを商品に貼り付け、投函することで発送が可能だ。マルイ新宿にオープン予定の「メルカリステーション」に設置を予定しているほか、全国のドコモショップや人口密集地などを中心に設置を行い、2023年までに全国5000カ所への設置を計画している。また、「メルカリポスト」を進化させ、出品物の自動採寸、無人レジ機能、顔から年齢・性別を自動解析し、個人に合ったクーポンなどを発行するといった機能を持つ「メルカリポストプラス」の開発をパナソニックと共同で進めていく。
また、一次流通と二次流通との融合では、メルカリがこれまでに蓄積してきた二次流通市場に関するデータを、メーカーや小売企業といった一次流通企業のデータと結び付け、マーケティングや商品企画などをサポートする計画だ。連携企業のECサイトと購入履歴を共有し、そのサイトで購入した商品を「メルカリ」で出品する際に情報入力を簡便するほか、「メルカリステーション」や「メルカリポスト」で取得したオフラインでのユーザーデータをもとに、近隣の店舗への来店促進をしたり、「メルカリ」上で新品購入への誘導を可能にしたりする。既に丸井が運営するマルイ店舗とECの「マルイウェブチャネル」やアイスタイルが運営する「アットコスメ(@COSME)」との連携が決まっている。
さらに、「メルカリ」での取引全体の4割を占めるというアパレルにおいては、バニッシュ・スタンダードが運営するコーディネート投稿機能を中心とした販促支援サービス「スタッフスタート(STAFF START)」と連携。「メルカリ」内にコーディネートから服を探す「コーデ機能」を実装し、コーディネート画像内にあるアイテムの新品をアパレル企業のECサイトで購入したり、「メルカリ」で類似商品を探したりできる。