Lブランズ(L BRANDS)は、ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)の株式55%を投資会社のシカモア・パートナーズ(SYCAMORE PARTNERS)に5億2500万ドル(約572億円)で売却する。同社は今後、「バス&ボディーワークス(BATH & BODY WORKS)」のみに集中し、創業者のレスリー・ウェクスナー(Leslie Wexner)会長兼最高経営責任者(CEO)は退任する。
株式譲渡は2020年7月までには完了するとみられ、ヴィクトリアズ・シークレットのランジェリー事業やビューティ事業、若年層向けブランド「ピンク(PINK)」もシカモア・パートナーズに譲渡する。また、ピンクのエイミー・ホーク(Amy Hauk)CEOをはじめとする各事業のトップの進退は明らかになっていない。
退任を発表したウェクスナー会長兼CEOは、ヴィクトリアズ・シークレットのここ最近の業績不振や、児童買春の容疑がかけられていたが19年8月にニューヨークの独房で自殺した米国の富豪ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)と交友関係にあったことで批判されていた。また、自身も社内におけるセクシャルハラスメント行為を指摘されていた。退任後は決定権を持たない名誉会長職に就くという。
ウェクスナー会長兼CEOは、「この企業の新たな歴史の幕開けだ。これまでにも伝えているように、小売りビジネスに変化はつきものだ。ビジネスの進化に合わせて何度も方向転換してきたが、今こそが経営権を新たなトップに引き継ぐタイミングだと考えた」と同社の取引先に向けて声明を発表している。
Lブランズは株式売却益で同社の負債額を減らす狙いだ。ムーディーズ(MOODY’S)のクリスティーナ・ボニ(Christina Boni)バイス・プレジデントは、ヴィクトリアズ・シークレット売却で負債額が最大で10億ドル(約1090億円)は減ると予測する。
ヴィクトリアズ・シークレット売却のニュースが報道された翌日(現地時間20日)のLブランズ株価は大幅に下落。終値は前日比3.6%減の23.42ドル(約2552円)となった。