ファッション
連載 コレクション日記

またまたミラノ日記Vol.2 「プラダ」に来るBLACKPINKのLISA追跡司令下る 「フェンディ」は優しきパンク

9:45 マックスマーラ

 さて2日目の朝は「マックスマーラ(MAX MARA)」。最近、いいカンジであります。一緒に取材している後輩記者マミーノ(イタリア仕様)によりますと、若い世代の女の子が「一生モノ」としてキャメルのベーシックコートを買うこともあるそう。僕は、今季も登場したテディベアコート、いつか手に入れたいモノです(笑)。

 ショーは、オトナっぽいムードと、そんな若い世代がウキウキするラブリーなテイストが上手に融合しています。キーディテールは、フリル。いくつも連ねスカートの裾、ジャケットの肩口、コートの袖などに加えます。でも素材は、メンズウエアにも使うフランネルやウール、それにデニム。色もネイビーとキャメル、グレーなどベーシックなので、“子どもっぽい”とも違います。良きバランスです。

 ヘア&メイクも、そんなバランスを模索しているようでした。大人っぽいスモーキーアイなのに、髪の毛の一部は編み込んでミサンガみたいにアレンジです。

11:00 ニューガーズ グループ

 「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」や「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」を手掛け、最近は「アンブッシュ(AMBUSH)」や「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」を取り込んだニューガーズ グループ(NEW GUARDS GROUP)」のダヴィデ・ドゥ・ジーリオ(Davide De Giglio)最高経営責任者を取材。面白いエピソードたくさんだし、非常に勉強になりました!詳細は、「WWDジャパン」のミラノ特集号と、「WWD JAPAN.com」で!

12:30 グッチ

 昨日、夢いっぱいのコレクションを見せてくれた「グッチ(GUCCI)」の展示会へ。幼き頃に戻ったかのようなコレクションには、レトロで、持ったり飾ったりするだけで昔夢中になったお人形遊びのお人形さんになれるようなアクセサリーがいっぱい。洋服は、とにかく首元や袖口にレースをあしらい、テクニックも盛り沢山だったことを再確認です。洋服は引き続き、装飾が少なめのリアル。明るい色使いは希望に溢れ、パフやフリル、ラッフルが「グッチ」らしさも醸し出しています。

 今、店頭にはミッキー・マウスがキーモチーフのコレクションが並んでいますが、来年は、デイジー・ダックだ!!

13:50 アンテプリマ

 さぁ、お次は荻野いづみサンの「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」。ご覧ください、この動画。流れるようなシルエット、柔らかな素材使い、そこに、自然由来の優しい色と柄。こんなに穏やかな気持ちになれる、オトナなコレクションありますでしょうか?「アンテプリマ」のコレクションを見ると、リブニットと同じ素材のスカートルックだったら「オイルヒーターでポカポカの部屋で微睡みたいね」とか、薄くパッドを入れたコートだったら「落ち葉がいっぱいの公園を歩きたいね」と、勝手に心地よいシーンを思い浮かべてしまうのはなぜでしょう(笑)?

 名物ワイヤーバッグは、ワイヤーの幅が3mmから2mmに改良され(マニアックな情報ですw)、ハンドルが長く柔らかくなったり、異素材も編み込めるようになったりと進化を遂げています。バックステージでは、そんな鉄板バッグ改良の理由を、いづみサンにインタビューさせていただきました。詳細は、こちらも「WWDジャパン」のミラノ特集号で!!

14:45 ベネトン

 歩いて「ベネトン(UNITED COLORS OF BENETTON)」のプレゼンテーションへ。会場がだいぶ暗いのは残念ですが、レインボーなヒョウ柄やカモフラ、カレッジストライプ、それにキース・ヘリング(Keith Haring)モチーフのビッグTにダボダボパンツのストリートルックです。バンビコラボもあるみたい。にしても、もうちょっと明るくできなかったかしら(笑)?

15:20 モンクレール

 さぁ「グッチ」同様、昨日は楽しませていただきました「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」の展示会へ。昨日と同じ場所で、ディスプレイを変えて10以上の最新コレクションを全部見せ!!です。

 それぞれのラインの詳細は、コチラにお任せ。昨日は、「まるでダウンのテーマパークだ!!」と思いましたが、今日はほとんどお買い物気分♪。23日には、会場を一般解放。昨年は1万人が来場したそうです(驚)。

16:30 プラダ

 モンクレールの展示会から、「プラダ(PRADA)」へ!!超絶焦りながら、会場に向かいます。その理由は、「WWDジャパン」のソーシャルエディターがBLACKPINKのLISAの来場情報をキャッチしたから!!しかも「黒髪に変わって、今期最大のバズな予感」と彼女。当日も日本から、「この服装なハズです」「ELLE Koreaの表紙にもなっています」などなど、続々情報が寄せられます。こ、これは、死ぬ気で撮らなアカンやつや……。「プラダ」に向かう「WWDジャパン」トリオ、気が引き締まります。ぶっちゃければ、スナップは“若いモン”に任せたいのですが、後輩記者マミーノは「フルラ(FURLA)」の展示会からの道中が渋滞で到着できず(泣)!!こうなったら、42歳のオジサンも頑張るしかありません。

 会場には、モノすごい数のファン!!早くもハッシュタグ「#LISAxPRADA」が誕生したようで、タグをプリントした紙を握りしめたファンが大勢です。急いで会場入りしようとすると、「LISA~」の声が聞こえる!!ヤバイ!!もう入っちゃった!?慌てて、中に入ります。

 が、まだLISAらしき人はいない!「あれ~、ドウナッテルノ??」と慌てていたら、もう一人の同僚、ヨーロッパ通信員のヤブちゃんが華麗にカメラに納めてくれました!!神様、LISAサマ、YABUNOさま!!コレで、ソーシャルエディターに怒られずにすみます(笑)。遅れて会場入りしたマミーノは、最後の最後までLISAの周りで粘り、結果、この素敵なインスタ投稿が誕生しております

 さて、話をコレクションに戻しましょう。ショーは、2020-21年秋冬メンズとおんなじ作り。前回はパリを思わせる騎士像でしたが、今回はニューヨークのロックフェラーセンターを彷彿とさせるアトラス像の周りを、モデルが縦横無尽に歩きます。

 アトラス像ということは、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)の心の旅先は、ニューヨーク?

 そう言われると、序盤は“ザ・ワーキングウーマン”なパワフルなジャケット姿。ノートパソコンもガシガシ入れられちゃう大きなバッグに、フリンジや布地を縦に切り裂いたスカートのルックが続きます。ソルト&ペッパーのコートやジャケットには、パステルカラーのネクタイやフリンジスカート。

 フェイクファーのコートも加わってだんだん優しくなってくると、今度はシアーなチュールのパート。プリーツを寄せたビブ、NYの地下鉄では当たり前になった「ルルレモン(LULULEMON)」ガールを思わせるスパッツ&ブラトップと、あんなに力強かったフォーマルスタイルは、いつの間にか優しいスポーティに移り変わっているのでした。その後は、メンズ・コレクションとリンクする再生ナイロン“エコニル”を使ったアウター、ボアにラミネートのコート、パステルカラーで構成する「プラダ」の90年代ミニマリズムと、コレクションは目まぐるしく変化。とはいえ、今季はちゃんとしたジャケットとスカート推しと、相変わらずMDの断捨離傾向は顕著でした。

17:30 ファビアナ フィリッピ

 「ファビアナ フィリッピ(FABIANA FILIPPI)」は、自分たちらしさに原点回帰。正直、ちょっとデザイン性が高くなっていましたが、今回は控えめ。カラーパレットも落ち着いた1トーン主義に戻し、優しいニット、ストレスフリーのコートなどの提案に立ち返ります。

18:00 トラサルディ

 「ベネトン」以上にくらい会場です(苦笑)。思い出されるのは、大御所ジャーナリストのスージー・メンケス(Suzy Menkes)が、暗すぎてスマホの撮影に閉口していたことばかり。洋服も、「トラサルディ(TRUSSARDI)」のアイコンやコアバリューってなんだっけ?と再定義し切れていない印象で、正直、共感を誘ったり、あまたあるブランドからココを選ぶ決め手に欠けていたりの印象が否めません。

19:30 フェンディ

 シルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)の優しきパンクです!!「フェンディ」、大勝負!!シルエットのほとんど全てを、袖をもぎ取り、2サイズオーバーくらいの別の袖を取り付けたようなシルエットに改め、ニュー・プロポーションを提案です。プラスサイズモデルも登場するし、カレン・エルソン(Karen Elson)やリヤ・ケベデ(Liya Kebede)ら、40歳オーバーのスーパーモデルも登場して、明らかに何かから解放されようというムードが満載です。

 コートはおろか、ニットドレスにもコルセットやブラが内蔵された精緻なパターンが目白押しですが、少しふくよかになったカレン・エルソンさえ着こなせることを考えると、このコルセットは「画一的な体に導く」ためのアイデアではなく、ふくよかでもやっぱり美しい女性の曲線的な体を強調するためのアイデアのように思えます。出てくるのは、ノースリーブ、パワーショルダー、もしくは、ドロップスリーブのアイテムばかり。いずれも、二の腕が太くなってもなお着こなせそうなものばかりです。後半は、メッシュやレース、チュールなどの肌見せ素材も登場しますが、やっぱり、プラスサイズモデルも同じ素材のドレス姿。今季は「フェンディ」の誰でも着られる洋服、インクルーシブ・デザインなコレクションです。

19:50 ヘルノ

 お隣の(助かる!!)、「ヘルノ(HERNO)」へ。先月拝見したメンズ・コレクション同様、5年で土に還るナイロン、ベジタブルタンニン、リサイクルナイロン「エコニル」やリサイクルウールなど、いろんな方法でサステナブルの可能性を模索した商品が並びます。

 サステナブルについては、いろんな意見があり、現段階ではその全てに対応する素材や商品なんてありません。だからこそ「ヘルノ」は、あまたの選択肢を用意して、選んでもらうことに決めた。2020年の今時点においては、最も正しい選択だと思います。

21:05 モスキーノ

 さぁ、時差ボケで朝4時に起き、ランチなしで駆け抜た1日。もう限界であります。「モスキーノ(MOSCHINO)」さんよ、早く始まっておくれ。帰って、ジャンクなチーズバーガーが食べたいんだ(笑)。そう思っていた僕に、ジェレミー・スコット(Jeremy Scott)からケーキのプレゼントです。

 甘~い甘いケーキの世界。カラフルな色使いに、絞り口から出てくるフリフリのクリーム。それが、ドレスになっちゃいました!!正直彼のコレクションは、「よ~やるわ(苦笑)」って思うこともあるのですが、今回は、ステキ!!ラブいし、やっぱりケーキって、夢を見せてくれる!!ケーキの力を借りて、「モスキーノ」は今季、今の世界に必要な夢を届けてくれました。ありがとう、ジェレミー‼︎でもホテルに戻ったら、チーズバーガーも食べます(笑)。

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百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

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