ミラノ3日目は、後輩記者マミーノが、体調不良で戦線離脱!!昨日は3人だった「WWDジャパン」チームが、一夜明けたら1人になってしまいました(泣)。ということで、本日はいつも以上の高速バージョン。数多のブランドの皆様、タッチ&ゴーで駆け抜けてしまい、本当にごめんなさいでした。
9:55 トッズ
本日一発目の「トッズ(TOD’S)」は、新クリエイティブ・ディレクターのヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)によるファースト・コレクションです。ヴァルターは、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「グッチ(GUCCI)」「ミュウミュウ(MIU MIU)」そして「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」で経験を積んだ、イタリアン・ファッションをよく知る人物。詳しくはコチラの記事をご覧ください。
コレクション、良いですね!!チェスターコートは、今シーズンらしいウエストシェイプ。一方のジャケットは、ボーイフレンドシルエット。ウールやツイード、コーデュロイをたっぷり使ってシルエットに抑揚を効かせながら、基本はイタリアンな大人っぽいカラーパレットですが、時折強いレッドなどのフレッシュカラーを加えます。今、若いミラネーゼがお父さんやお母さん、ボーイフレンド、それに自分の洋服を自由奔放にコーディネイトしたら、こんなカンジってカンジ(笑)。アクセサリーの根幹を担うバッグ&シューズは、ラウンドシェイプのホーボーバッグにレトロスニーカー、キルティングレザーのワンハンドル、サイドゴアブーツ、パンプス、ポインテッドトーのフラットシューズ、それに「トッズ」と言えばなドライビングシューズの“ゴンミーニ”とバリエーション豊か。一押しのバッグは、大きさ的にちょっと売りづらそうですが、他のアイテムは格段にフレッシュになりました。好発進です。
10:45 ジェオックス
お次は、「ジェオックス(GEOX)」。なんという大渋滞!!車が全く動かず、思ったよりかなり遅れての到着です。日本ではどうしても機能面がフォーカスされ、スニーカー、もしくは疲れないパンプスというイメージが先行してしまいますが、ちゃんとエレガントもございます。防水や通気性に優れたブランドのブーツ、案外イケるかもしれません。
11:50 エンポリオ アルマーニ
ほぼ「トッズ」の場所に逆戻りして、「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」へ。ショーは、1月のメンズ・コレクションでも発表したサステナブルな「R-EA」コレクションからスタートです。リサイクルウールやポリエステルから作ったアイテム、メンズはストリート仕様でしたが、ウィメンズはコンパクト丈のジャケットやチェスターコート、キュロットなど、完全に「アルマーニ」ワールドなアイテムです。アルマーニファンの女性に、選べる選択肢をプレゼント、っていう感じでしょうか?
コレクションは、ブラック&ホワイトの世界で始まりました。「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARANI)」が普遍性をテーマに柔らかな色使いを模索する昨今、「エンポリオ アルマーニ」はモードのテイストを強めています。序盤は、ひたすらにパンツスーツ&ベルベットのネクタイ。クロップド丈のジャケットに、リラックスシルエットのパンツ、それに大きなベルベットタイのコーディネートの連打に、アルマーニさんの、アンコンジャケットの先駆者の、ストリートスタイルからの回帰という想いを感じざるにはいられません。中盤は、そこにリボンが加わってラブリー度がアップ。
そして終盤は、今季は推しましたね~。エメラルドとミッドナイトブルー。ベロアのセットアップからベアトップのミニドレス、フリルたっぷりのワンピースに至るまで、エメラルドとミッドナイトブルーのペアをランウエイに送り出しました。大きなコサージュにフリル&ラッフル、そしてリボン、大人っぽい色合いにキュートなディテールも素敵です。
12:50 スポーツマックス
今年で50周年の「スポーツマックス(SPORTMAX)」は、装飾は最小限に、シルエットにこだわりました。いずれのルックも、ウエストマーク。ダーツでウエストが大きくくびれたPジャケット、パターン状のレザーやベルベットをコルセットのように配置したジャケット、時にはハーネスのようなパーツも使ったベルトマーク……。今季、多くのブランドが工夫するウエストマーク1本勝負!!という感じです。終盤は、ベルベットに七色に光るクリスタルを散りばめたジャケットやドレス。ドレスにもルレックス(金属糸)を折り込み、ピカピカです。今季のトレンドが、目白押しや~。
13:15~ 怒涛の展示会周りスタート!!
さぁ、ここからは一気に行きます。それぞれ、滞在時間は全て10分以内です。ホント、ブランドの方には申し訳ない。もう一回謝ります。ごめんなさい。
「コリーニ(COLLINI)」は、いきなり魔法陣の中で呪文を唱える魔女みたいなスタイルが出迎えてくれました。アクセサリーは、おぅ、目玉(笑)。「普段着」と紹介いただいたスエットも、ナカナカのモンです。「無難は何にも生み出さない」。会場で首脳に聞いた言葉を聞いて、納得であります(笑)。
「ジャンヴィト ロッシ(Gianvito Rossi)は、往年の名女優を思わせるコレクション。艶っぽいレザー、曲線のヒール、メリージェーンストラップが、そんなムードをかきたてますね。フラットなバレエシューズはベルベット、マウンテンブーツはメタリックレザーなど、イヴニングなムードを備えたカジュアルアイテムもユニークです。
「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」は、アクセサリーがめちゃくちゃ可愛くなってます。カメラバッグがカシミヤ製だったり、AirPodsケースにクロコダイルタイプも用意したり、値段はカワイくなさそうですが(苦笑)、大ぶりチェックのトートバッグ含め、コレは新たなガールズ&ボーイズが注目しそう!ウエアも、どうしてもポンチョとかざっくりニットのイメージが強いのですが、パステルカラーのチェスターコートやボディコンシャスなニットドレスなど、コンテンポラリーのムードは増すばかりです。良き!!
「ポメラート(POMELLATO)」は、新作“ファンティーナ”コレクションを発表。馬術の世界にインスピレーションを得た、曲線なのにパワフルなリング、ネックレス、イヤリング、ブレスレットなどが揃います。聞けば「ポメラート」という名前、イタリア語で“まだら模様の馬”という意味だそう。「へぇ」であります。
「プラン C(PLAN C)」のプレゼン会場は、光と影。ちなみに、影を作っているおもちゃは、デザイナーのカロリーナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)の私物オモチャです(笑)。力強いコートにロングドレス、クリーンなシャツにガウチョパンツとスポーティブルゾンなど、相反するテイストを融合したコレクションと、光と陰のプレゼンテーションがマッチです。
14:35 エトロ
「エトロ(ETRO)」と言えばノマド(遊牧民)なワケで、今シーズンもテンガロンハット&カウボーイブーツや、アフガンストール、ペイズリー&ナバホ柄、ゴブラン織りのコートなどなど、あらゆるアイテムをエクレクティック(折衷主義)に取り入れます。でも今シーズンは、ロンドンとかパリなど、「エトロ」レディは都会も旅したみたいです。そりゃ、毎回砂漠とか荒野だけじゃ飽きますよね(笑)。
というワケでブリティッシュチェックのジャケット、シルクのボウタイブラウス、ヴィクトリアン調のドレスなどなど、今季はドレスアップのムードが強め。ニットカーデにもショルダーパッドが入ったり、やっぱり時代は今、ちょっと心構えがいるけれど、だからこそ袖を通せば“アガる”服を求めていますね。
15:40 マルニ
さぁ、コレは一体、何でしょう(笑)。奇才フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)の「マルニ(MARNI)」は、ボロボロのレザー、ニット、ヴィクトリアンなカーペットなどをハイパーパッチワーク。そこにレスリングシューズを合わせました。フィナーレのリッソは、なぜかウサギ姿(「FR2」を思い出したのは、私だけかもしれませんw)です。
正直ビジネスは、このアイデアをかなり希釈したコマーシャルラインと、もはや別軸にあるようにさえ感じられるプレ・コレクション、加えて日本においては「ポーター(PORTER)」とのコラボレーションや「マルニ マーケット」があるので大きな問題はなく、その意味においても「コレは、誰が着るの!?」という疑問は、こと最近の「マルニ」のランウエイを語るにおいては愚問です。ここは、「そんなビジネスのプレッシャーから解放された(解放されていいのかどうか、はまた別問題ですがw)リッソは今、何を考えているのか、一緒に考えよう」と解釈することが大事でしょう。
フィナーレのウサギ、そしてインビテーションとして送られてきた動画から考えると、今季は、「不思議の国のアリス」ですよねぇ。結局、まどろんでいただけのアリスの物語は、原作を読むと「?」な場面が多数存在し、ゆえに解釈は今なお無数に存在します。今季の「マルニ」は、そんな無数に存在する解釈までひっくるめての「不思議の国のアリス」な感じ。アリスの時代感のビンテージ、「不思議」の由縁にもなっている「?」な場面を思わせるヘンテコスタイリング、そして、渦巻くあらゆる解釈までもが「不思議の国のアリス」という物語の魅力となっている状況、リッソは、その全てをボロボロの材料、「誰が着るの!?」というアイテムやヘンテコスタイリング、そして、渦巻く意見を思わせるパッチワークやムラだらけのカラーパレットで表現したのではないか?と。ちょっと優しく解釈しすぎでしょうか(笑)?
「一笑に付す」のは、正直簡単です。でも、ビジネスマンのレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)OTB会長が、わずか32歳で「マルニ」のトップに大抜擢した人物ですから、“勘ぐって”良いハズ。今季は、そう思い、こう勘ぐってみました。いかがでしょう(笑)?
16:30 プラダ
昨晩の「プラダ(PRADA)」の展示会へ。透ける素材、フリンジ、そしてウエストマークなどで女性らしさを賛美したコレクションのアクセサリーなどをパシャリ。今季のキーディテールのフリンジは、バッグにもてんこ盛り。「何を入れるの!?」とも思いますが、女性の神秘を象徴するバニティケースは、ベルト、ネックレス、ブレスレットなど、あらゆるアイテムに取り入れられています。
17:30 セルジオ ロッシ
先ほどの「ジャンヴィト ロッシ」同様、「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」も砂時計のようなフォームのヒール。パンプスは、一気にセンシュアル(官能的)になりました。どうやら今季は、「女性であることの喜び」を素直に表現するのが、ミラノの根底に流れる価値観のようです。
にしても驚きなのが、「セルジオ ロッシ」のヒールが「さぁ、頑張って履くぞ!!」というプレッシャーを感じさせないシルエットに仕上がっていること。今季は、9cmと6cmのヒールの2本勝負なのですが、いずれも7.5cmと4.5cmくらいに見えるのは、「セルジオ ロッシ」マジックでしょうか?会場全体がグリーンなのは、ブランドがずっとサステナブルに取り組んでいるから。自社の太陽光発電と、ドイツのクリーン企業からの買い取りにより、本社と工場、イタリア国内の店舗はアウトレットを含めて全てサステナブルな電力で賄っており、加えて工場の職人は、夏休みが4週間になったそう。労災も大きく減少しました。
19:30 ヴェルサーチェ
さぁ、本日ラストは「ヴェルサーチェ(VERSACE)」。今回は、男女合同ショーです。会場は、こんなカンジ。目の前には大きなスクリーン。座ると、目の前には自分(笑)。強いエフェクトがかかっていて、ユラユラ揺れています。一人で遊んでいると、あっという間にショーが始まりました。
ドナテラの顔から始まったときはビックリしましたが(笑)、ショーは、このスクリーンを上手に使って疾走感たっぷり。序盤のウエストをシェイプしたブラックドレスから、レッド×ブラックのブリティシュチェックで作るトラッド、そこからストリート、グレーを基調としたイタリアンフォーマル、十八番のシルクスクリーン、そしてレザーとデニムのパッチワークと次々展開。見るものを飽きさせません。重低音の打ち込みと、スクリーンのエフェクト、終盤は歪んだゼブラなどのモチーフに覆われたセットアップやファーコートで迫力満点のランウエイショーは、まさにコレぞ「ヴェルサーチェ」!!素晴らしきランウエイに1日14カ所を回った疲れも吹っ飛びました~!