ミラノでは、新型コロナウイルスが突如蔓延し始めました。23日(現地時間)には、昨日まで70人台だった感染者数が130人越えとほぼ倍増。24日からはミラノ市内の学校も閉鎖されるなど、政府は蔓延阻止に必死です。その影響を受けて、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」は、ショーにゲストを招かないことを決定。翌日の「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」は、ショーそのものを中止せざるを得ませんでした。ということでミラノは実質、今日が最終日。最後の日記をお送りします。
9:50 ポーツ 1961
本日のトップバッターは、「ポーツ 1961(PORTS 1961)」。トップスタイリストのカール・テンプラー(Karl Templer)が就任して2シーズン目。彼は、「サカイ(SACAI)」のパリコレクションのスタイリングなどを手掛けています。
だから、でしょうか?なんか「サカイ」っぽいなぁ(苦笑)。「サカイ」のシルエットに「アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)」的なイタリアンテイストをのせてみた、そんな感じです。つまりはビミョーってこと。「サカイ」っぽさは序盤から顕著で、オーバーサイズのコート、左右非対称にプリントした水玉模様のワンピース、そこに加えたモコモコのボアコートまで既視感アリ。次回に期待!!です。
11:55 ボス
お次は「ボス(BOSS)」。会場は、ライラックカラー。楕円の舞台に現れた管弦楽団のBGMで、「ボス」らしい、ドイツブランドらしい厳かなショーが始まります。
「ボス」と言えばシャープなテーラリング、相反するリラックスシルエットのコートと、流れるような生地づかいのドレス、そして、バウハウスに着想を得るがゆえのミニマリズム。それらの全てが、今シーズンもいかんなく発揮されています。ドレスコードに頑ななあたりも、真面目な“ドイツ人っぽい”カンジですね(笑)。だからこそ、日本人との相性も良いのかな?そして今季は、「ボス」もフリンジ!!今年の秋冬は、もうユラユラ揺らすしかありません。
12:40 アルマーニ/シーロス
「ジョルジオ アルマーニ」のショーには入れないと言うのに、未練がましく会場までやって来てしまいました。と言うのではなく、一昨日の「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」のショー終わりに開幕した、ピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)の写真展を拝見すべく、ショー会場の向かいにあるアルマーニさんの美術館「アルマーニ/シーロス(ARMANI / SILOS)」までやって来たのです。
ともに普遍性を愛するクリエイターとして親交が厚かったという2人。リンドバーグが亡くなったのは昨年の9月でしたから、きっと、愛ゆえの突貫工事での写真展開催なのだと思います。モノクロの写真を眺めながら、ファッションではなく、女性のパーソナリティーを切り取ることでファッション・フォトグラファーとしての地位を確立した彼を思います。
と、思っていたら!!ラフ・シモンズ(Raf Simons)がプラダ(PRADA)の共同クリエイティブ・ディレクターに就任というビッグニュース!!大急ぎで対応すべく、シーロス内のカフェに飛び込み、「アルマーニ コーヒー」とクロワッサンを食べながら作業です。多分、メディアとして日本で一番早かったと思われ、一安心。余談ですが「アルマーニ コーヒー」、5ユーロ(600円)ですがオイシイです!!オススメ。
13:30 フィラ
お次は、韓国資本「フィラ(FILA)」のプレゼンテーションへ。なんだか「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」みたいなプレゼン&スタイルです。カワイイし、K-POPスターとかが着ればバズる洋服だと思うのですが、「『ジーニアス』っぽくして、それより安くすれば売れるんじゃない?」という魂胆が透けて見えるようでなんだかイヤです。
14:15 ドルチェ&ガッバーナ
ミラノ・コレクションの実質フィナーレとなってしまった「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」は、前回のメンズ同様、今回もエントランスにスーツ職人、ニットを編むマンマ、そしてお抱えの彫金師を呼び寄せました。コレクションも、メンズと同じ。デジタルな時代だからこそ、こうした職人のクラフツマンシップと、彼らが生み出すオーセンティシティ(本質)に迫ります。
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マンマの手編みニットは、相変わらずスーパーボリューム。ブランドがスター街道を驀進した90年代を思わせます。メンズとの違いは、ニットをちょっと甘く編んだり、ラメを絡めたり、ボディコンシャスなドレスを作っちゃったりなど、センシュアル(官能的)でさえあること。伝統的なマンマのニット、なのにセクシー!!おもしろい矛盾の同居を見た気がします。TikTokerにクラフツマンシップ全開のコレクションを見せたメンズ同様の、アンビバレンツですね。
トレンドのフリンジは「ドルチェ&ガッバーナ」の場合、シャンデリアのようなビジュー付きで実にゴージャス!!彫金師によるゴールドのイヤリングも、歩くたびにユラユラ揺れます。スティレット(ピンヒール)、パフスリーブ、連なるスカラップドヘムのブラックドレスなどの官能的スタイルと、ふと畝のコーデュロイやざっくりニット、コンバットブーツで作る野暮ったいスタイルの融合。トレンドど真ん中であり、どちらも「ドルチェ&ガッバーナ」らしくもあり、最高です!
15:00 ボッテガ・ヴェネタ
昨日の「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の展示会へ。PRの方に、「ドレスも増えたので、次からレッドカーペットも楽しみなんです。本物のダイヤモンドを使ったハイジュエリー・コレクションも始まったし!!」と聞いて、「そうか!!」と思いました。ダニエル・リー(Daniel Lee)体制は始まったばかりですが、世界はあっという間に広がっていますね。今回の“フリンジモリモリドレス”は、スタイル抜群の女優にさぞ映えることでしょう!!来年の今頃、レッドカーペットのシーズンが楽しみです。
シューズは、柔らかなレザー製。履くと足の形が透けてしまうほどですが、ダニエルは「それがセクシー」と言うそうです。前回は、「鎖骨は、老若男女誰でも美しい」という名言を放ったし、ダニエル、人体マニアなのかもしれない(笑)。でも、「どんな人でも美しい」って断言してくれると、ちょっと自信が持てますね。
15:45 マルニ
最後は「マルニ(MARNI)」の展示会。ちょうど居合わせたフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)にご挨拶。フィナーレではウサギのマスク姿だった彼は、ゲストの足を踏んでしまったそうで、非常に心苦しく思っているそうです(笑)。コレクションは、やっぱり「不思議の国のアリス」の世界。不思議な物語から、「何が正解で、何が不正解かなんて分からない」と考え、いかようにも解釈できる洋服を生み出しました。