ファッション

追記:腕一本で時代を切り開いたデザイナーの軌跡 水戸芸術館で「森英恵 世界にはばたく蝶」展開催

 【追記4月3日】茨城県・水戸芸術館現代美術ギャラリーは、コロナウイルス感染拡大の影響により3月いっぱいまで休館と発表していましたが、5月10日までの休館により本展覧会は終了となりました。 

 茨城県・水戸芸術館現代美術ギャラリーは、2月22日~5月6日の会期で「森英恵 世界にはばたく蝶」展を開催している。これは水戸芸術館の開館30周年を記念するもので、水戸市芸術振興財団理事長でもある森英恵デザイナーの足跡をたどる展覧会だ。

 日本人ファッションデザイナーの先駆けとして活躍してきた森英恵が半世紀にわたって生み出してきたオートクチュールの作品や映画、舞台衣裳、ユニホームなど多岐にわたる仕事を通して、激動の時代を切り開いてきた軌跡を展示している。 

 展示は森英恵の代表的なモチーフである蝶を糸口にその足跡をたどる構成で、本展のエントランスには「私の蝶は銀色に輝くジェット機のイメージよ」という言葉が掲げられている。戦後の復興期にファッションデザイナーとして、女性として、そして東洋人として「世界に力強く羽ばたいていく」という強い意志が込められた言葉だ。

 展示は、蝶のモチーフを扱ったドレスを一堂に集めたセクションからスタートし、オートクチュールの技法やテクニックを集約して見せるセクション、アトリエをイメージした空間が続く。展示された作品には、いつの時代に制作されたのかの説明が一切ない。これは森英恵の意向によるもので、時代を超越したタイムレスなスタイルを見てとることができる。

 さらには、美空ひばりが東京ドームで行った復活コンサートで着用した“不死鳥と深紅の花のドレス”といった、コンサートや舞台、映画などで手掛けた貴重な衣裳の展示などが続く。最後のセクションでは“森英恵のライフストーリー”と題し、幼少期から学生時代、さらには新宿に「ひよしや」というショップを構え、その後ニューヨーク、パリへとわたり世界的に活躍するまでの道のりを写真と過去のイタビューを交えて紹介している。

 森英恵デザイナーは1926年1月8日生まれ、島根県出身。51年に東京・新宿にスタジオを開く。54年に銀座に ブティック「ハナヱ・モリ」をオープン。1950年代の日本映画全盛期には数百本にものぼる映画の衣裳をデザインする。65年にニューヨークで初めて海外コレクションを発表し、日本の素材を用いたドレスが話題に。その後、パリ・コレクションに進出する。77年にパリ・オートクチュール組合からアジア人として初めて会員として認められ、2004年までパリでオートクチュール・コレクションを発表。02年にはフランス政府からレジオン・ドヌール 勲章のオフィシエを授与される。

■「森英恵 世界にはばたく蝶」
日程:2月22日~5月6日
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
時間:9:30〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日 ※ただし5月4日(月・祝)は開館
入場料:一般900円、前売り・団体(20人以上)700円、高校生以下・70歳以上、障害者手帳を持つ方と付き添いの方1人は無料

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