米ファストファッションチェーン「フォーエバー21(FOREVER 21)」の新たな最高経営責任者(CEO)として、ダニエル・クレ(Daniel Kulle)前H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)北米事業プレジデントが任命された。
クレ新CEOは20年間にわたってH&Mに在籍しており、そのうち9年間は北米事業を率いていた。同氏は任期中に600店のオープンを指揮したほか、米国、カナダ、メキシコをカバーする統合されたECプラットフォームの開発を主導し、北米事業の売上高を10億ドル(約1100億円)から40億ドル(約4400億円)規模へと成長させた。またH&Mの前CEOで、新たに会長に就任するカール・ヨハン・パーション(Karl-Johan Persson)の戦略アドバイザーも務め、グループ内のデジタルスタートアップの立ち上げに貢献した。
「フォーエバー21」は2019年9月29日に日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用を申請しており、事業が競争入札にかけられていた。20年2月4日に米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)と、家主である米不動産投資信託会社のサイモン・プロパティー・グループ(SIMON PROPERTY GROUP)および同ブルックフィールド・プロパティー・パートナーズ(BROOKFIELD PROPERTY PARTNERS)の3社連合が8110万ドル(約89億2100万円)で入札。その後、連邦破産裁判所の承認を得て3社連合への売却が決定した。なお、3社連合の持ち分はABGとサイモン・プロパティー・グループがそれぞれ37.5%、ブルックフィールド・プロパティー・パートナーズが25%となっている。
ジェイミー・ソルター(Jamie Salter)ABG会長兼CEOは、「『フォーエバー21』の負債や納入された商品の支払いなども含めると、実際の買収額は3億ドル(約330億円)程度になるだろう。同社が米国で展開する448店をはじめ、世界中にある店舗をなるべく存続させたいと考えているが、それは家主との交渉にかかっている」と語った。
「フォーエバー21」はドン・チャン(Do Won Chang)とジン・チャン(Jin Sook Chang)夫妻が1984年に米ロサンゼルスで創業。連邦破産法11条の適用を申請した2019年9月の時点で、米国で展開する549店のうち178店を閉じるとしていたが、これまでにおよそ100店を閉じている。中国市場からは19年5月に完全撤退しており、日本でも同10月末で全店舗とECを閉鎖した。