デルタ航空の制服を着用した従業員500人が発疹や呼吸困難、視界不良などの健康被害を訴え、制服を生産するランズ エンド(LANDS’ END)社を相手取り集団訴訟を提起した。問題となった制服はアメリカのデザイナー、ザック・ポーゼン(Zac Posen)がデザインしたものだが、ポーゼン本人やデルタ航空は裁判の当事者にはなっていない。ランズ エンドの担当者は「50年以上もの間、当社は企業向け制服のサプライヤーとしてアメリカの企業と取引してきた。問題となった制服は2年近く使用されている。また、独立した研究機関で複数回テストされており、安全性を確認している。係争中の案件のため、これ以上コメントできないのが残念だ」とコメントしている。
問題となった制服は、フライトアテンダントや地上職員など約4万人の従業員が2018年5月に着用を開始した。従業員によって健康被害を訴えたアイテムは異なるという。デルタ航空の担当者は、「当社が実施した毒物検査の結果によると、制服はエコテックス(OEKO-TEX)社が設けている安全基準を最高水準で満たしている。他方で希望者のみが着用していたエプロンだけは、その基準を満たしていなかった。当社は引き続き原因の特定に向けて調査を続けていく」とコメントした。
従業員は自費で、デルタ航空の制服ではない既製品を購入して着用することが認められているが、問題となった制服を現在も着用している従業員がいるため、近くにいるだけで発症するという。デルタ航空の担当者は「20年下半期から新たな制服を導入する。これは引き続きランズ エンド社が生産しているが、検査を実施する」と説明する。なお、この制服がポーゼンのデザインか否かについては明らかにされていない。
原告団の代理人の一人であるブルース・マックスウェル(Bruce Maxwell)弁護士によると、集団訴訟を提起する前には、マックスウェル弁護士が所属する法律事務所に従業員から1500件に上る電話による問い合わせがあったという。また、この集団訴訟には新たに400人の従業員が加わるとみられている。