アシックスとカシオ計算機は、2月に東京ビッグサイトで開催されていたウエアラブル機器などの展示会「第6回ウェアラブルEXPO」で、共同開発したランニング用ウエアラブル端末と専用スマートフォンアプリを披露した。両社は昨年5月にスポーツのデジタル化を目指した業務提携をしており、カシオが培ってきたセンシング技術と、アシックスが得意とするスポーツ工学の知見や蓄積してきたビッグデータを融合してランナーの動作を分析する、初の共同サービスコンテンツとなる。
ランニング用のウエアラブル端末といえばウオッチが一般的だが、「より正確なデータを得るために重心に近い腰に装着する必要があった」(担当者)と、今回発表された端末はパンツのウエストに挟むクリップ型だ。GPSに加えモーションセンサー、加速度センサー、ジャイロなどを搭載し、ペースや距離、ピッチ、スライドなどの一般的な項目だけでなく、ランナーの動作やランニングフォームなど20以上のデータを計測。連続使用時間は約15時間で、フルマラソンやウルトラマラソンにも対応する。大きさは幅40 × 高さ62 × 厚さ18mmとかなり小ぶりで、重さも約40gなので走行中も気にならない。また「スマートフォンを持って走るのが煩わしい」というランナーの声から、端末で計測したデータは自動でスマホに転送されるため、持って走る必要もない。
計測したデータは、グラフや3Dアニメーションなどアプリ内で分かりやすく可視化される。最大の特徴は、自身のフォームを「巧みな動き」「動きの力強さ」「スムーズな重心移動」「左右対称性」「安定した姿勢」「負担の少ない着地」の6つの項目に分けられたレーダーチャートで確認できる点だ。レーダーチャートではフォームがスコア化され、理想のフォーム(100点)を目指して楽しみながらフォーム改善に取り組むことができる。さらに、「ランニングを始めた人の7割が、『1人で走るのがツラい』『練習方法が分からない』などの理由で1年でやめてしまう。そういった方々と、数年ランニングを続ける中で記録が更新できず悩みや迷いを持つ中級の方々に、手を差し伸べるコーチのようなサービスの提供を目指した」(担当者)と、コーチング機能やトレーニングメニューの提案などのサービスも提供する。
ウエラブル端末の発売とアプリの配信は年内を予定しており、「G-SHOCK」との連動も視野に入れているという。