1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます
今日のニュース:P.8『性に寄り添う“フェムテック”が新たな市場を作る!』
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読み解きポイント:「女性だけの話ではなく、社会を生きる私たちの話」
ニュースのポイント
“フェムテック”はフィメール・テクノロジーの略で「女性が抱える健康問題をテクノロジー(技術)で解決するサービスやモノ」を指す言葉。欧米を起点に、体調管理アプリから経血吸収型のサニタリーショーツなどの新たな商品までがここ数年で登場している。1996年から女性向けセックストイや生理用品を扱う「ラブピースクラブ」や、ベイクルーズが2017年にスタートした女性の生理周期に寄り添ったブランド「エミリーウィーク(EMILY WEEK)」、19年にオープンしたフェムテック集積ゾーンの大丸梅田店「ミチカケ」など、日本でもプレイヤーが登場している。現在は“フェム”テックと称されているものの、男性を対象にした商品も出てきており、今後も人間の心と体の悩みに寄り添うソリューションとなる商品が期待されている。
Azuはこう読む!
この一年でグッと存在感を増した“フェムテック”ですが、この言葉を聞いて何を想起しますか?一番分りやすいし話題になるのが「生理」だと思うので、多くの人はなんとなく「生理のことを扱う分野」と認識しているのではないでしょうか。
もちろん、それも正解です。“ナプキンいらず”の「経血吸収型サニタリーショーツ」や、膣内に入れることで経血を受け止め繰り返し使える「月経カップ」、一番馴染み深いものだと生理周期の予測・記録アプリなど、生理にまつわるさまざまな商品やサービスが登場しています。ですが、「生理」以外にも妊娠前中や産後のケア、更年期のための膣トレデバイス、セックストイやサポートアイテムといったセクシャルヘルス領域など、さまざまなジャンルで女性の生活を支えるアイデアが生まれているんです。
なんだかこう聞くと、“フェムテック”は女性のものと思うかもしれませんが、私はそうは思っていません。例えば「生理」は子どもを身ごもる人体の機能の一つとして存在しているわけだし、パートナーがいて将来子どもを作りたい思いがあるなら、それは決して女性だけの話ではないのです。妊娠に関する問題にしても、女性側の身体的負担や制約が多いからなのか、主に女性に問題があるような認識がありますが、実際のところ不妊の原因の半数は男性も関係しています。
日本だと精子セルフチェックサービスの「Seem」、海外だと精子の検査・保存サービスの「Legacy」など、最近“男性の妊活”も注目を集めており、“フェムテック”が盛り上がる一方で、もう少し解釈を広げて、夫婦や恋人、家族のテーマとしてお互いの心と体の健康を考えることがもっと身近になれば良いな、と思っています。実際私にも婦人科系の病気の疑いがあり、家系的なこともあったのでかなり心配していたのですが、パートナーには「大丈夫!死にはしないよ!」という扱いをされて「いや、死ぬ可能性だってゼロじゃないから泣いているんだが?」と、ちょっとイラっとした経験があります(笑)。
本紙10、11ページ有識者4人による国内フェムテックの座談会では、有識者の一人として男性も登場。男性は「生理」や「妊娠」の当事者ではないかもしれませんが、パートナーとして、あるいは社会のひとりとして、決して他人ではないので、“フェムテック”の領域にこうして男性がいるのは心強いなと思いました。ということで、興味関心がある人(男性も!)は各地でイベントやセミナーが開催されているので、ぜひ行ってみたり、メディアの記事などを見て調べたりしてくださいね。
Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne