ファッション

編集長はパリコレで何した?Vol.3 「ドリス」でマスクをもらい、「ルメール」で加瀬亮を見逃し、「パトゥ」にテンション上がる

 パリコレは開幕直後の穏やかな空気が少しずつ変わってきました。この原稿を書いている28日(金)の時点では、ほぼ予定通り続いています。ただ新型コロナウイルスに関して、隣国イタリアの深刻な状況や、他の欧州への広がりが連日報道されており、ショーの始まりを待つ間はこの話で持ち切りです。パリコレは興行ではなくビジネスで、ショーがビジネスに有効だから開かれています。とは言え人が集まることが一番のリスクである現状で、それでもショーじゃないとダメなのか。その問いを反芻しながら一日10件以上を取材しています。

2月26日9:30
「ランバン」で冨永愛が
8年ぶりにパリコレ歩く

 ブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)による「ランバン(LANVIN)」は大人っぽい服が増えて実売につながりそうです。なんて思いながら見ていたら、愛ちゃん!モデルの冨永愛さんが歩いてきました。モデル、女優、アンバサダーなど各所でご活躍ですが、パリコレのランウエイで見るのは久しぶり。後で話を聞いてみようっと。

10:30
高田賢三さんに
新生「ケンゾー」の感想を聞く

 「ケンゾー」はフィリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)によるデビューでした。「ケンゾー」にとって大切なのは、“ユース=若さ”だと思う。なぜなら若き賢三さんがパリへ飛び込みファッション界をひっかき回したそのエネルギーが原点だから。という意味でフィリペの「ケンゾー」にはいわゆる“ユース”なキャッチーさはなく、正直言うとザワツキは物足りないかな。同時にスポーティーなデザインは時代に即しているとも思います。百貨店で言えば展開する売り場が大人なフロアへ替わりそうです。

12:30
ロマンチックだった
「メゾン マルジェラ」

 ジョン・ガリアーノ(John Galliano)による「ジョン・ガリアーノ(JOHN GALLIANO)」が大好きでした。そのイメージを「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の中に探し続けて早数年。美を正面から見るロマンチックなガリアーノと、あえて裏から見ることで新しい美を見出そうとするマルジェラ。強烈な個性の2つの世界が今回のショーでは本当に違和感なくひとつになっていたと思います。表からだけでも、裏からだけもなく穴を開けた、という感じ。なんのこっちゃですよね。つまりは美しかった、ということです。これはもう、展示会では十分には伝わらない世界観。ショーが必要です。ぜひ動画をご覧ください。

14:00
「マルベリー」で
ブーツにロックオン

 「マルベリー(MULBERRY)」と言えばバッグ。だけど今季はこのブーツが気になります。ゴツいワークブーツは今季のトレンドですが、つま先がゴールドのブーツは初めて見ました。

15:00
「ドリス ヴァン ノッテン」では
マスクを配布

 「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の会場入り口ではマスクが配られ、除菌ジェルが置かれていました。パリコレでこのシーンを見るのはこれが初めてです。さすが気遣いのドリス様!配るスタッフもマスクをしています。80年代のロンドンの華やかな夜の社交から着想を得たというコレクションは光沢ある素材や鮮やかな色で華やか。グランジムードも入っています。美しいものは美しく、今のような状況でも自主規制したり覆ったりする必要はなし。そのメッセージを発信するショーの役割は大きいです。

16:30
「ウジョー」がパリコレデビュー

 日本のブランド「ウジョー(UJOH)」がミラノからパリへ場所を移してショーを行いました。場所はセーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋の下。この橋はナポレオンが眠るアンヴァリッドとグラン・パレを結び、装飾がたっぷり施されています。とてもパリらしい、そして日常生活と密接した場所です。ピンストライプなどメンズにスーツ地を使ってプリーツスカートやワンピースなど女性の日常の服を作り出す「ウジョー」にも合っていました。発表する場所はファッションブランドの世界観と密接ですね。

17:30
「ロシャス」はデラクアによる
ラストショー

 「ロシャス(ROCHAS)」は契約満了となるアレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell'Acqua)によるラストショー。色がきれいで、ボリュームのあるクチュールライクなスタイルはラストショーでも変わらず、他のショーでもみかけるパルテル調の水色が印象的でした。後任はただいま選考中だそう。

18:00
「ルメール」で
加瀬亮さんを見逃す

 「ルメール(LEMAIRE)」はモデルのウォーキングがおもしろく、不規則にバラバラ出てきて、歩くスピードはまちまち。中には客席に向けてキョロキョロと視線を向けるモデルもいます。いつもは見る側なのに見られる側になるとドキッとします。“ストリート”という言葉から連想するのは、カジュアルなメンズ服ですが、「ルメール」もある意味“ストリート”。待ちゆく人たちの描写をショーを通じて見るようで面白いです。そしてその中に俳優の加瀬亮さんがいた、という情報を後で聞き、見逃していたことを知りました。写真を撮れず残念!ですが、ぜひルック写真で見てください。

18:30
ギョームが帰ってきた
「パトゥ」が最高

 「パトゥ(PATOU)」のプレゼンテーションはシテ島へ。「カルヴェン(CARVEN)」で名を馳せ、「ニナ リッチ(NINA RICCI)」も手掛けた、ギョーム・アンリ(Guillaume Henry)が就任し、2シーズン目。こりゃカワイイ!!「カルヴェン」の時よりは大人っぽく、「ニナリッチ」の時よりも可愛らしさがある。日本と相性がよさそうです。写真を撮り忘れましたが、ギョーム自身も終始笑顔でイキイキとしていました。LVMH傘下でサステナビリティへの取り組みなどビジネスの仕組み自体もしっかり考えているようで注目です。

20:00
「ショーメ」のヴァンドーム広場本店が
改装オープン

 ハイジュエリーの聖地、ヴァンドーム広場の中央に建つ「ショーメ(CHAUMET)」の本店がリニューアルオープンしました。音楽家のショパンが暮らした家としても知られる歴史ある建物です。「ショーメ」と言えばティアラ。その表現もジェンダーレスなモデルが着用するなどモダンなイメージを打ち出していて新鮮です。

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