モードファッションにおけるヘア&メイクの第一人者、ヘアメイクアップアーティスト加茂克也が2月に亡くなった。享年54。メディアが伝えた。
加茂克也は1988年から「モッズ・ヘア(MOD'S HAIR)」に所属。渡仏を機に活躍の場を世界に広げ、ファッション雑誌を中心に広告やショーなど幅広い仕事を手掛ける。「フェンディ(FENDI)」「シャネル(CHANEL)」「ケンゾー(KENZO)」などのキャンペーンビジュアルをはじめ、「コム デ ギャルソン(COMME des GARCONS)」「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」などのコレクションで名を馳せる。
「ヴォーグ(VOGUE)や「デイズド・アンド・コンフューズド(DAZED&CONFUSED)」などのモード誌でも多数の作品を掲載し、15年には個人事務所「カモ ヘッド」を設立しさらなる飛躍を見せていた。最近では「アンダーカバー(UNDERCOVER)」や「アンリアレイジ(ANREALAGE)」「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」などのコレクションでヘアメイクを披露し、精力的なクリエイションを見せていた。
ヘアメイクのインスピレーション源に、昆虫の死骸やキノコ、鳥の羽根など奇抜なモチーフを用い、それでいて誰もが「きれい」と思える作品に昇華させることが加茂アーティストの手法。そうしたアーティスティックな面を持ちながら、率直に物を言う姿勢は多くのクリエイターからの信頼を集めた。彼がトップを務めるコレクションのバックステージは、厳しさの中に笑いが溢れるなど、その人柄を象徴したものだった。
2015年に「WWDビューティ」記者が行ったインタビューの際、記者の「ヘアメイクアップアーティストにならなかったら何になっていた?」との質問に対し、「考えられない。ご想像にお任せします」と答えたことがあった。ヘアメイクを天職とする偉大なアーティストの訃報は、業界に衝撃と悲しみを与えることは間違いない。