ラグジュアリーブランドのファッションショーやイベントなどのデザインや空間演出を手掛けるビュロー・ベタック(BUREAU BETAK)は、サステナビリティに関する取り組みとして国際規格ISO 20121認証を取得した。これはイベント運営が環境、経済、社会に与える影響を測定して管理するもので、ファッション業界の世界的なイベント会社が同認証を受けるのは今回が初めてだという。
ビュロー・ベタックはニューヨーク、パリ、上海にオフィスを構えており、今後のショーやイベント、展示会などは全てISO 20121に準拠して計画および開催する。これに伴い、同社は行動計画を策定。基本方針として“テン・コマンドメンツ(Ten Commandments、十戒の意)”を定めたほか、環境問題の専門家や非政府組織(NGO)の代表者、デザイナー、アパレルブランドの経営陣、メディアやインフルエンサーなどの有識者からなる諮問委員会、ビュロー・ベタック・ドゥ・タンク(BUREAU BETAK DO TANK)を立ち上げている。
同社は世界中で年間100件ほどのショーや展示会などを手掛けているが、行動計画に基づき、使用した資材は全て再利用し、廃棄物は100%リサイクルする。使い捨てプラスチックは禁止とし、会場で使用する電気は再生可能エネルギーを提供する電力会社や協力会社と契約してまかなう。同社はこれらの取り組みを通じて、2021年までに二酸化炭素排出量を25%減少させ、Bコーポレーション認証(環境や社会に配慮した事業活動を行っている企業に与えられる認証制度)の取得も目指すという。また、承認された環境保護団体に売り上げの1%を寄付することを目的とした非営利団体ワンパーセント・フォー・ザ・プラネット(1% For the Planet)にも参加する。
ビュロー・ベタックは行動計画の一環として、サプライヤーにも“責任ある調達に関する憲章(Responsible Purchasing Charter)”への署名を要請する。同社はこうした取り組みが顧客やサプライヤーとの関係に“リスクをもたらす”ことは認識しているが、業界をリードする立場として理解を求めていきたいとしている。なお、環境保全に関する先駆的な取り組みで知られるケリング(KERING)を親会社に持つ「グッチ(GUCCI)」が19年9月22日に発表した20年春夏ミラノ・コレクションのショーも、国際規格ISO 20121に準拠して開催されている。
ビュロー・ベタックが定めた“テン・コマンドメンツ”は以下の通り。
1. 環境に配慮したデザイン:全てのファッションイベントにサステナビリティを
2. 資材の再利用:環境への影響を最小限にするため、最大限の努力をする
3. 舞台セットや資材に“第二の人生”を与えるべく、アップサイクルや再分配を行う
4. 廃棄物をリサイクルし、生ごみはたい肥に
5. 使い捨てプラスチックの使用禁止:ペットボトルを減らすために冷水器を導入
6. 責任あるケータリング:食品のパッケージにも責任を持ち、食品廃棄を減らす
7. グリーンエネルギー:化石燃料の使用を最小限に
8. ビデオ会議を活用し、飛行機での移動を減らす
9. カーボン・オフセット100%の実現
10. 社会貢献:ワンパーセント・フォー・ザ・プラネットを通じた寄付