ファスナー最大手のYKKはこのほど、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局が推進する「ファッション業界気候行動憲章(Fashion Industry Charter for Climate Action)」に署名した。これは、パリ協定の長期目標のひとつ「世界の気温上昇を産業革命以前の水準より2℃未満に抑える努力を追求する」を支持するもので、30年までに温室効果ガス(GHG)の総排出量の30%削減を達成し、50年までに実質ゼロにすることを目標にしており、すでに100以上の企業や組織が署名し、日本ではファーストリテイリングも署名している。
YKKは原材料調達から生産工程、物流、サプライチェーンを含む自社の事業活動における温室効果ガス排出量の把握と削減に向けた取り組みを継続し、今後2年以内にSBT(Science-based Targets)の「科学的知見と整合した目標」の基準である「2度℃を十分に下回り、1.5度℃への努力を追求する」目標を策定し、SBTイニシアチブの認定取得も目指している。
大谷裕明社長は「YKKはYKK精神“善の巡環”に基づき、1994年に『YKKグループ環境宣言』を制定し、事業活動の全ての領域で環境活動に取り組んでいる。その一つとして26年以上前にペットボトルやポリエステルの端材を再利用したファスナー『ナチュロン(NATULON)』を開発した。『ファッション業界気候行動憲章』に署名することは、商品開発とモノ作りの工程における持続可能性への継続的な取り組みだけでなく、業界全体で協力してGHGの削減を加速させたいという私たちの願いを世界に伝えるものだ」とコメントを発表した。