米国のオフプライスストア大手で、「TJマックス(TJ MAXX)」「マーシャルズ(MARSHALLS)」などを運営するTJXが絶好調だ。2020年1月期の売上高は前期比7.0%増の417億ドル(約4兆4619億円)で、過去最高を更新。純利益は同6.9%増の32億7200万ドル(約3501億円)だった。業績を2月26日に発表すると、株価は7.5%上昇して63.99ドル(約6846円)となった。
TJXのアーニー・ハーマン(Ernie Herrman)最高経営責任者(CEO)は、「主要部門全てで4%以上の売り上げ増を達成した。これは主に客数の増加によるものだ。第4四半期のホリデーシーズンは、ブランドの幅広い品ぞろえとギフト向け商品の充実で世界中の客を引きつけ、特に衣料品と家具などを扱うホームの分野が好調だった。年間売り上げ400億ドル超えは、当社にとって大きなマイルストーンだ」と話す。
これによって、全業態の既存店売上高が24四半期(6年)連続で前年実績超えとなった。有力ブランドの商品を割引価格で販売するオフプライス業態は小売りの勝ち組となっており、ECにも客を取られていない。「ショッピングの場所は百貨店からオフプライスストアに移った」と、調査会社ジェーン&ハリ・アソシエイツも報告している。こうした状況から、「今日の小売業界においてTJXには多くのチャンスがあり、今後も市場シェアを高められると確信している。今後数年にわたって、世界中で成長できると考えている」とハーマンCEOは続ける。
一方で市場には、オフプライス業態のソーシャルでの影響力の低さを危惧する声もある。確かに、「TJマックス」「マーシャルズ」のインスタグラムのフォロワー数はそれぞれ約100万で、「グッチ(GUCCI)」の約4000万、「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA’S SECRET)」の約6900万、「ナイキ(NIKE)」の約1億200万に比べると、ソーシャル上での存在感の薄さは明らか。しかし、「それは10年後にはオフプライス業態の課題となるだろうが、当面は問題ではない」「大半の人々が買い物に求めるものの筆頭は割安感であり、オフプライス業態の成長の障壁となるものはしばらくなさそうだ」と、UBSやウェールズ・ファーゴのアナリストは分析している。
TJXは20年1月期末時点で、米国、カナダ、欧州、オーストラリアに計4529店を運営している。うち、米国の「TJマックス」は1273店、「マーシャルズ」は1130店。