米百貨店のノードストローム(NORDSTROM)は、エリック・ノードストローム(Erik Nordstrom)共同社長を最高経営責任者(CEO)に、ピート・ノードストローム(Pete Nordstrom)共同社長を社長兼チーフ・ブランド・オフィサーに任命することを発表した。
シアトルを拠点とする同百貨店は2019年10月24日にマンハッタン旗艦店をオープンし、ニューヨークに本格的に進出した。同社の20年1月通期決算は売上高が前期比2.2%減の151億3200万ドル(約1兆6191億円)、純利益は同12.0%減の4億9600万ドル(約530億円)と減収減益だった。トランク・クラブ(TRUNK CLUB)の統合費用にまつわる評価減と、負債の借り換えのためのコストが利益を圧迫した。なおノードストロームは売り上げの33%がECサイトによるものだが、これはおよそ7%増となった。
エリック新CEOは、「これはヒエラルキーを付けるものではなく、それぞれの役割を明確にするためだ。ノードストロームのさらなる発展のため、ピートとはこれからも協力しあって長期計画を実行していく」と語った。
一方、サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)の親会社であるカナダの大手小売りハドソンズ・ベイ・カンパニー(HUDSON'S BAY COMPANY以下、HBC)では、ヘレナ・フォークス(Helena Foulkes)CEOが3月13日付で退任する。同氏は18年2月に就任したばかりだった。後任として、リチャード・ベーカー(Richard Baker)=エグゼクティブ・チェアマン兼ガバナーがCEO職を兼任する。
HBCは業績不振が続いており、その回復には時間がかかることが予想されるため、ベーカー=エグゼクティブ・チェアマン兼ガバナーは、自身を含む複数の主要株主が同社の発行済み株式を買い取る形で上場廃止し、短期間での成果やリターンが期待されない環境で再生を目指すとしている。この案は19年10月にHBCの取締役会で可決され、20年2月に裁判所からの承認を得た。
ベーカー=エグゼクティブ・チェアマン兼ガバナーは、「ヘレナのリーダーシップと、この2年間で上げた業績に感謝している。共に組織の合理化に取り組んで事業を強化し、顧客サービスに注力する体制をつくることができた。HBCの次章を楽しみにしている」と語った。フォークスCEOは、「リチャードと共に大胆な改革に取り組み、事業を合理化した。マーケティングを時代に合わせてアップデートし、デジタル化を推進して経営陣も強化した。これらによって小売部門をさらにパワーアップできたこと、またHBCが顧客を最優先に考えて変化を受け入れたことを誇りに思う」と述べた。
フォークスCEOはゴールドマン・サックス(THE GOLDMAN SACHS GROUP)やティファニー(TIFFANY & CO.)で経験を積んだ後、ドラッグストアチェーンのCVSに1992年に入社。同社をアメリカ最大級のドラッグストアに成長させる立役者となり、14年からはCVSヘルス(CVS HEALTH)のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CVSファーマシー(CVS PHARMACY)のプレジデントを務めた。
また仏百貨店プランタン(PRINTEMPS)は、パオロ・デ・チェザーレ(Paolo de Cesare)CEOが退任し、現在後任を探していると発表した。同社は、「小売業はここ数年ほど苦難に直面しており、特にフランスでは“黄色いベスト運動”などによる打撃を受けている。プランタンも将来を見据えた改革案を推進するためには新たなリーダーが必要だという結論に達した」とコメントを発表した。
デ・チェザーレ前CEOは07年に同職に就任。プランタンはケリング(KERING)の前身であるピノー・プランタン・ルドゥート(PINAULT PRINTEMPS REDOUTE)の傘下だったが、13年にルクセンブルクの投資会社ディヴァイン・インベストメンツ(DIVINE INVESTMENTS)に買収された。以降、デ・チェザーレ前CEOの下でパリ・オスマン本店を中心に改革が進められた。しかしオンライン市場との競争の激化や、仏政府への抗議行動が長期化していることによる売り上げ減少など厳しい状況が続いていた。