新型コロナウイルスの感染拡大で不安が広がっていますが、こんな時こそ、ファッションの持つポジティブなパワーを感じたいですよね。今回は、春らしい色使いとして人気が高い“桜ピンク”の装いに注目しました。少しトーンを抑えたスモーキーピンクやパウダーピンクは幅広い世代に支持されるようになっています。「マックスマーラ(MAX MARA)」の2020年春夏コレクションでは、パウダーピンクで上から下までトーンをそろえたルックが登場。こういったシンプル寄りのスタイリングなら、大人もワントーンで着られます。今回は国内ブランドの今季新作から、パステルピンクを生かした、飾り立てないコーディネートを紹介します。
カッティングやディテールでこだわりを見せて
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「ディウカ(DIVKA)」のワンピースは、アシンメトリーの裾がアイキャッチー。渋めのピンクを選べば、肌色になじみ、落ち着いた印象に。ドレープを施しつつ、ウエストシェイプが利いているので、めりはりボディに。くすみピンクをまとうなら、このようなカッティングに凝ったデザインを選ぶと、スタイリングに動きが加わります。
「テン(TEN.)」はワンピース風にも見えるセットアップで、くすみピンクを品良く生かしました。前身頃はプレーンな見え具合ですが、両袖に工夫を施しています。ひじから先が急に細くなる、クラシックな“ジゴ袖”という、こだわりのディテールを採用。くすみピンクと技ありディテールの好バランスが控えめな華やぎを生んでいます。
パンツに生かして、ピンク特有の甘さをオフ
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ボトムスだけにピンクを迎えれば、顔周りから離れるので、スイート感を抑えやすくなります。「クラネ(CLANE)」はパジャマのようなゆったりパンツを、パウダー系ピンクで染め上げました。落ち感のあるロングシャツと合わせて、ロング×ロングのコーデに。ドレーピーでのどかなムードも甘さを遠ざけています。
マニッシュなスラックスも、ほんのりピンクをあしらえば、優しい印象に様変わり。着ていけるシーンも広がります。「コトナ(KOTONA)」はアイシーピンクのパンツに、雰囲気が近いベージュのトップスを引き合わせました。全体が穏やかなムードでまとまり、春らしい着映えに。ヌーディーな靴を添えて、さらに伸びやかな気分にまとめています。
シャツの羽織り使いでリラックスな春気分
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ピンクのシャツは顔周りを明るく見せてくれるマジックツール。「エレンディーク(ELENDEEK)」は、桜ピンクのロングシャツをコート風に演出。白のワンピースに重ねました。シャツの上から細ベルトでウエストマーク。ピンクと白が響き合って、初々しい印象が生まれました。春気分とフェミニン感が融け合うコーデです。
前を開けて着れば、ピンクシャツを羽織り物風に使えます。「ミューラル(MURRAL)」はシャツをワンピースの上からカーディガン風に重ねて、軽やかな春レイヤードに仕上げました。ピンクが顔周りに温かみを乗せて、チークのような効果も生んでいます。シャツと羽織り物に使い分ければ、出番を増やせそう。
パステルピンクをまとえば、お花見や桜の気分を呼び込めます。穏やかな印象も与えられます。世の中全般にやや停滞ムードがある中でも、ピンクの効果で気持ちのリフレッシュが図れそう。装いを通して気持ちを盛り上げるという、ファッションの効果で日常を楽しんでみてはいかが。
ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い