3月10日、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は2020年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE以下、LVMHプライズ)」のファイナリスト8組を発表した。
ファイナリストに残ったのは、東京拠点の小泉智貴が手掛ける「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」やニューヨーク拠点のピーター・ドゥ(Peter Do)による「ピーター ドゥ」、ブルガリア系アメリカ人のエマ・チョポヴァ(Emma Chopova)とイギリス出身のローラ・ロウェナ(Laura Lowena)が手掛ける「チョポヴァ ロウェナ」など、SNSで既に高い知名度を有するブランドが選ばれた。ブルガリア出身のデザイナーが「LVMHプライズ」のファイナリストに選出されたのは初めてのことだ。
19年度の優勝者である「テベ マググ(THEBE MAGUGU)」に続き、南アフリカ出身でケープタウンを拠点にするシンディソ・クマロ(Sindiso Khumalo)による「シンディソ クマロ」も選ばれた。そのほか、ロンドン拠点のメンズウエアデザイナー、プリヤ・アルワリア(Priya Ahluwalia)が手掛ける「アルワリア」や、ニコラス・デイリー(Nicholas Daley)が手掛ける「ニコラス デイリー」も選ばれた。またインド系イギリス人でロンドンを拠点にするスプリヤ・レーレ(Supriya Lele)による「スプリヤ レーレ」、フランス出身のシャラフ・タジェル(Charaf Tajer)が自身のルーツでもある地、カサブランカをブランド名にした「カサブランカ(CASABLANCA)」も選出された。
「LVMHプライズ」を取りまとめるデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=ルイ・ヴィトン エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「クリエイティビティに長け、環境に配慮した服作りに力を注ぐセミファイナリストたちに、今年も心を動かされた。ファイナリストの5組はウィメンズウエアデザイナーで、3組はメンズウエアデザイナー。それぞれの領域で能力を発揮し、技術の向上を強く望んでいる」と評した。
審査員には、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)やクリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)らLVMHが有するブランドを手掛けるデザイナーのほか、シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)LVMHファッショングループ(LVMH FASHION GROUP)会長兼CEO、ジャン・ポール・クラヴリー(Jean-Paul Claverie)LVMH社会貢献活動部門責任者ら名だたるメンバーが名を連ねたが、新たに3人のメンバーが加わる。
新たに審査員に加わるのは、2015年に「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」で「LVMHプライズ」のファイナリストに選ばれたヴァージル・アブロー「ルイ・ヴィトン」メンズ アーティスティック ディレクター、「フェンティ(FENTY)」を手掛けるリアーナ(Rihanna)、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)だ。
グランプリの審査および発表は、6月5日に行われる。グランプリには、賞金30万ユーロ(約3600万円)のほか、LVMHのエキスパートによる1年にわたるメンターシップを受けられる機会が与えられる。なお、故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏の功績を称えて19年に特別賞として新設された「カール・ラガーフェルド賞」の受賞者は賞金15万ユーロ(約1800万円)獲得に加えて、グランプリ同様、LVMHのエキスパートによる1年間の指導を受けることができる。