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冷え込む市場に「とりあえずやってみた」で勝つ

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、イベントの中止や外出の自粛が広がっている。感染を食い止めるため今がまさに正念場だが、買い控えムードが続くと消費へのダメージはいかほどになるかと心配してしまう。増税、暖冬、そして新型コロナと、ファッション関連各社にとってはトリプルパンチだ。似たような状況として多くの人が思い出すのは2008年のリーマンショック、そして11年の東日本大震災だろう。あの時も世の中のムードはそれをきっかけとして大きく変わり、ファッションビジネスも変化を強いられた。変化の中で新たな潮流をつかみ、市場を創り出した企業もあるが、対応しきれず今もジリ貧な企業・業種もある。今回の新型コロナもまた、存続する企業と淘汰される企業とを分かつきっかけになるのかもしれない。(この記事はWWDジャパン2020年3月9日号からの抜粋です)

 新型コロナから話はそれるが、2月にファッション・ウイークの取材で訪れたニューヨークでも、変化に対応すべく模索し、潮流をつかもうとすることの重要性をまざまざと感じた。現地の小売りを取り巻く環境が激変下にあったからだ。米バーニーズ ニューヨークが19年8月に経営破綻したのは周知の通り。かつて憧れたマディソン・アベニューのバーニーズ旗艦店を訪れると、閉店セールによって荒れに荒れていてしんみりする余地は皆無だった。古きよき時代のファッションビジネスの終わりを鼻先に突き付けられ、「変わろうとしない企業はこうなる」と言われているかのようだった。

 今後3年間で125店を閉店し、2000人を削減すると2月上旬に発表した百貨店、メイシーズのヘラルドスクエア旗艦店も訪ねてみた。同店は百貨店として広さ世界一を誇った時代もあり、今も全米では最も大きな百貨店だという。それで正面入り口横の看板には、大きく「THE WORLD’S LARGEST STORE(世界で一番大きな店)」と記されているのだが、時代錯誤感はぬぐえない。このEC全盛時代に、図体ばかりが大きな旧来型の実店舗なんてコスト以外の何物でもないだろうに。館内には地図や表示も少なく、広いだけに目当ての売り場にたどり着くのには四苦八苦。他施設では賑わっていた話題の電化製品店「b8ta(ベータ)」であっても客はまばらで、「これでは、変化を求められて当然だな」と感じた。

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