イタリアのジュゼッペ・コンテ(Giuseppe Conte)首相は3月11日夜(現地時間)、薬局や食料品店など生活必需品を取り扱っている店を除く全ての店を12日から4月3日まで休業とすることを発表した。3月9日に国内全域での移動制限が発動されたばかりだが、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、今回の措置に踏み切った。なお、企業活動や工場の操業は安全対策を講じた上での継続が認められている。
ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)はミラノ市内にある旗艦店、ホテル、レストランを、グッチ(GUCCI)はミラノとベニスの旗艦店を11日の夜からただちに休業した。イタリア全土が封鎖という厳しい状況の中で短縮営業を続けていたベネトン グループ(BENETTON GROUP)や伊百貨店リナシェンテ(RINASCENTE)も、国内の全店舗を12日から休業とした。
ミラノ・ローディ・モンツァ・ブリアンツァ商業連盟(Confcommercio Milano, Lodi and Monza and Brianza)のマルコ・バルビエリ(Marco Barbieri)事務局長は、「ミラノなどでは小売店の50%程度がすでに一時休業していたが、今回の発表を受けて、当連盟としてはローンの返済猶予や税金の減免措置、フリーランスに対する月額500ユーロ(約5万9000円)の支給などを含めた支援策を国に求めていく」と語った。
イタリアのラグジュアリー業界団体アルタガンマ(Altagamma)のマテオ・ルネッリ(Matteo Lunelli)=プレジデントは、「ラグジュアリー業界はこうした危機的な状況の際には真っ先に影響を受けるので、短期的には大きな経済的損失をこうむると思うが、事態が収束すれば売り上げはすぐにもとに戻るだろう。2020年下期には回復に向かうことを願っている」と述べた。
イタリア商業連盟(Confcommercio)によれば、新型コロナウイルスが猛威を振るっているミラノはイタリアの国内総生産(GDP)のおよそ10%を占めているため影響が大きく、20年の経済損失はイタリア全体で150億ユーロ(約1兆7700億円)に上る可能性があるという。