レナウンが窮地に追い込まれている。親会社である中国の山東如意科技集団の香港子会社から売掛金53億円を回収できず、2019年12月期で多額の赤字を計上。神保佳幸社長は「(売掛金問題は)必ず解決できる」との見通しを述べるが、グループ会社間で売掛金が回収できないこと自体が異例だ。(この記事はWWDジャパン2020年3月9日号からの抜粋です)
レナウンの2019年12月期連結業績(決算期変更に伴う10カ月の変則決算)は発表が約2週間遅れ、決算短信には投資家に注意を促す「継続企業の前提に関する注記」が記されるなど、異例づくめだった。売上高が502億円、営業損益が79億円の赤字、純損益が67億円の赤字。近年は本業のアパレル低迷によって、わずかの黒字と赤字を行ったり来たりする状況が続いているが、67億円もの多額の最終赤字は初めて。山東如意の子会社で香港に拠点を置く恒成国際発展有限公司の売掛金の未回収によって貸倒引当金を計上したためだ。
原因になった未回収の売掛金とは何か。レナウンは世界中から仕入れた羊毛や綿花などの繊維原料を恒成国際に販売し、恒成国際はそれを中国のアパレルなどの取引先に収めている。この資金回収が滞ってしまった。そもそも繊維原料の商いをアパレルのレナウンが行なっていることは意外だ。一部では紡績会社が母体の山東如意による収益の“付け替え”ではないかという声もあるが、レナウンは否定する。「原料販売は安定した収益を確保するため、親会社との協議のうえで14年から始めた。当社には専任の担当者もおり、実態のあるビジネスだ」(同社広報)。
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