ユナイテッドアローズやエストネーションなど、主要セレクトショップが軒並み買い付けているウィメンズの卸ブランド「サクラ(SACRA)」(インターリブ、小田昌敏社長)は3月13日、立ち上げ12年目で初となる直営店を代官山にオープンする。旧山手通り沿いのヒルサイドテラス1階で、アトリエからもすぐ。「卸の商売は順調だが、次の10年、20年を考えると、どこかのタイミングで直営も出す必要がある。自分たちで売っていくことで次のステップへ行きたい」と、小田恵広報担当は話す。多店舗出店は考えていないが、主要都市には出店の意欲があるといい、4月には二子玉川にも出店する。
同ブランドはシンプルな中に少しだけひねりを利かせたデザインと、質の高い素材を使いつつも買いやすく設定した価格が支持されている。初の店舗は、以前は「ヴィヴィアン・ウエストウッド マン(VIVIENNE WESTWOOD MAN)」のショップが入っていた場所で、売り場面積は約85平方メートル。ガラス張りで通りからもよく見える空間を、あえてカーブを描くファサードで囲うようにした。「一見入りづらいかもしれないけど、お客さまがゆっくりくつろげる空間にしたかった」というのがその狙い。店内にはソファーもいくつか置いて、ドリンクなどもサーブしながら接客するという。
「サクラ」というブランド名だけに、“和”の雰囲気を感じさせる内装もポイント。白い漆喰や蒔絵のような真ちゅうの壁や天井に、モルタル(コンクリート)を組み合わせてモダンに引き締めている。「売るためにもっとラックや棚を置くこともできたが、あえてゆとりを持たせて配置した。ここでブランドイメージを高めていくことで、卸先のセレクトショップにも還元できるはず」と期待する。
特に同店限定アイテムなどは企画していないが、「今までは全ラインアップがそろう場所がなかったので喜んでいただけるのでは。アトリエスタッフも定期的に顔を出そうと思っている」。卸先での春物の売れ行きは新型コロナウイルスの感染拡大でここ数週間は鈍っているものの、それ以前は好調。「リラックス感のあるコート(4万7000円)やシルク混でラフなタッチのダブル前ジャケットなどの動きがよく、追加オーダーが入った。色は白やブラウンが人気。柄物のワンピースやスカートは近年は季節を問わず売れるようになっているが、今春物で出した小花柄のワンピース(3万6000円)やティアードスカート(2万9000円)も好評」だ。
二子玉川の店舗は、4月15日に玉川高島屋SC本館2階にオープンする。また、3月19日~4月1日には、渋谷スクランブルスクエア4階にポップアップストアも予定。直営店が増えることで、「これまで卸販売だけではなかなか企画できなかった、より上質な商品も今後は増やしていきたい」という。