「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON以下、JWA)」が、ロンドンに初の旗艦店をオープンする。同ブランドのデザイナー、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が出店地に選んだのは、ゲイクラブやストリップクラブが建ち並ぶロンドンのソーホー地区だ。
ソーホー地区に建つショップの外観にはネオンサインが輝いていて、周囲はラグジュアリーなタウンハウスが多く見られるメイフェアとは正反対の雰囲気だ。旗艦店の建つエリアには、ゲイのポルノショップやトレンドの先端を行くベーカリー、メディアの代理店などが建ち並ぶ。「このエリアにはすごいエネルギーを感じる。僕にとっては典型的なロンドンという感じ」と話すアンダーソンは、チャイナタウンやピカデリーサーカス、オックスフォードストリートにも歩いてすぐという好立地でもある、ブルーワーストリートとウォーダーストリートが交差する地点に以前から目を付けていたという。
アンダーソンは12日夜に行われたオープニングパーティーで、「あらゆる人にとって身近で、自分自身もここだと思える場所に店をオープンできてよかった。ロンドンの中心地でありながら地域性も感じる。いろいろなものが混在するエリアは『JWA』にしっくりくる。『JWA』は“バリアを張るブランド”じゃない。僕はいろいろな人にこのブランドを知ってもらいたいんだ」と語った。
英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相が新型コロナウイルスを「この時代における重大な公衆衛生危機だ」と評し、12日のロンドン株式市場ではFTSE100種総合株価指数が前日終値に比べ10.9%安と、1987年のブラックマンデーでの株価暴落以降最大の下落率を見せるなど、英国でも新型コロナウイルスの影響が各所に及んでいる。
しかしロンドンの人びとは冷静沈着で、アンダーソンも例外ではない。「運命に取りつかれて悩んだりできない。みんなで一丸となって本気でやっていかないと。ただのファションというだけでなく、僕たち全員にとっていろいろなことを試みる時期になっていくと思う。こういうときに何よりも素晴らしいと思えるのは、みんなの頑張りが反映されること。初めて自分の店をオープンしたけど、ここまで来るのに費やした年月を本当に誇りに思うよ」。
「このブランドは店を構えるのにちょうどいい規模だと思う。今はちょっとした中間目標地点に立っていて、変な言い方をすれば、瞬間的にはとてもダイナミックな渦の中にいるという感じ。僕が楽観的な気分でいるのは復活力を感じているからさ。このソーホーに何百年もある店を見てもわかるようにね。そして、それが英国というもの。立ち直る力があって、地域社会と仕事が共存している」とアンダーソンは語った。
6aアーキテクト(6a Architects)がデザインした121平方メートルのスペースに3つの異なるインテリアデザインが施された旗艦店には、「コンバース(CONVERSE)」「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」とのコラボ品を含むメンズ・ウィメンズウエアからレザーグッズ、シューズ、ハンドバッグ、アクセサリーに及ぶまで多数のコレクションがそろえられている。アンダーソンは店舗のインテリアについて、「ノスタルジックな感じにはしたくなかったけど、ロンドンらしさは出したかった。モダニズムの要素を加えたくて、街角の小さな店で使用する素材と同じものを使ったんだ」とコメントした。
新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して小売店やオフィスなどが臨時休業する中、JWAの旗艦店は3月13日に営業を開始した。