「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」など30以上のブランドを手掛けるイタリアの大手アイウエア企業サフィロ(SAFILO)の2019年12月期は、売上高が前期比3.1%増の9億3900万ユーロ(約1108億円)、純損失は前期の1400万ユーロ(約16億円)から400万ユーロ(約4億円)に改善した。
アンジェロ・トロッキア(Angelo Trocchia)=サフィロ最高経営責任者は「ライセンスブランドだけでなく、ハウスブランド『ポラロイド(POLAROID)』『カレラ(CARRERA)』『スミス(SMITH)』の好調が売り上げ増に貢献したことは頼もしい。また、『リーバイス(LEVI’S)』『ミッソーニ(MISSONI)』『デヴィッド ベッカム(DAVID BECKHAM)』『アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)』のライセンスを獲得できたことも収穫だ。さらに、アメリカ・カリフォルニアのブランド『ブレンダーズ・アイウエア(BLENDERS EYEWEAR)』の買収は、サフィロのターニングポイントになる。19年は、サフィロにとって意義深い変革の年だった」と振り返った。
ただし、21年以降はライセンスビジネスの主力である「ディオール」をはじめ「フェンディ」「ジバンシィ」との契約が終了し、それらはLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)とイタリアの大手アイウエア企業のマルコリン(MARCOLIN)による合弁会社ティリオス(THELIOS)に移るとみられ、ビジネスモデルの再構築を余儀なくされている。全売上高の10%以上を占めている「ディオール」の穴は埋められるのか。
サフィロが発表した24年を達成目標とする5カ年計画によると、ハウスブランドとライセンスブランドの売り上げ構成比率を同等にすること、eコマースの売り上げ構成比率を現在の7%から15%にすることなどが盛り込まれている。そこで大きな期待を寄せているのが「ブレンダーズ・アイウエア」だ。同ブランドはデジタルやソーシャルメディアを駆使したビジネスを得意としており、アメリカにおけるeコマースの売り上げの約95%がオンラインによるもので、19年の売上高は約4200万ドル(約44億円)だった。サフィロは、「ブレンダーズ・アイウエア」のノウハウを取り入れてeコマースの売り上げを拡大することを見込んでおり、同ブランドの主力顧客であるミレニアル世代やZ世代に加えてキッズやスポーツ分野の商品開発も検討している。そのほか、パドヴァの本社や工場の縮小、イタリアの従業員約700人の人員整理などコスト削減に取り組みことによって、24年の売上高10億ユーロ(約1180億円)を目指している。