古着店「ドンドンダウン オン ウェンズデイ(以下、ドンドンダウン)」を国内外で運営するドンドンアップ(岩手県、岡本昭史社長)は3月16日から、東京と東北の一部店舗とオンラインサイトでマスク製作キットを無料で配っている。1人1点限りで、オンラインサイトでの注文には送料がかかる。
提供するマスク製作キットに使われるのは「ドンドンダウン」で買い取った古着だ。マスクに適したものを選び、洗濯した後で切り分けて再利用している。ドンドンアップの広報担当者は、「布マスクはウイルス対策には効果を発揮しないが、花粉症がピークの今、少しでもマスクを供給できれば」と意図について話す。また、「休校および外出自粛で自宅にこもりがちな子どもと一緒に工作して楽しんでもらえたら」と続けた。
マスク製作キットの中身は、古着の端切れ2枚と平ゴム、作り方説明書。子どもや女性向けのSサイズと男性向けのMサイズを用意し、「一点物の古着を使っているから他人とかぶらないのも魅力」だという。さっそく子ども連れの主婦や年配客が持ち帰っているという。
ドンドンアップは2011年の東日本大震災で被災して本社機能が一時停止し、宮城県と福島県の店舗を閉店した。「従業員の多くは東北出身者で、親族や友人を失った者も少なくない。そんな中で、われわれは日本中から支援をいただいた」と振り返る。「恩返しのつもり」で同社は11年から13年まで、日本中から届いた古着を200カ所以上の被災地に届ける活動「ドンドンドネーション」を行った。この活動は18年の西日本豪雨の際も継続され、支援衣料の総量は約5tになった。広島県と愛知県で無料提供フリーマーケット「ドンドン ニコニコフリマ」を開催し、ドンドンアップのスタッフと学生ボランティアを介して古着が被災者の手に渡った。