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外部インフルエンサーじゃなく、自社の未来の逸材を発掘して ファッションフリークOL「WWDジャパン」につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、ファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6『セレクトが発起 一丸となって人材確保』

読み解きポイント:「早い者勝ち!ファッション業界で働きたい「潜在層」を見逃すな!」

ニュースのポイント

 人材不足がアパレル企業の成長を阻む問題の一つになっている。この問題をうけ、本来ライバルであるはずの企業同士が協力し人材確保に取り組んでいる。狙うのは専門学生と比べてファッション業界が接点を持たない一般の四年制大学生。ファッション業界に特化した求人サービスを展開するレディー トゥ ファッションはファッション・アパレル企業の採用合同説明会「RTF オフライン」をベイクルーズ本社のプレスルームで開催。会場にはトルソーやおしゃれなケータリングが並び、学生からも「キラキラしている」と声が上がる空間だった。また、リファラル採用(=社員に人材を紹介してもらう方法)サービスを展開するマイリーファーはセレクトショップ3社と販売員のリファラルに特化したミートアップを開催した。

Azuはこう読む!

 私が就職活動したのは6年前。ファッションを仕事にと思い始めていましたが、四年制大学に通っていた私はファッション業界について全く知らず、思いつく職業といえば販売員やデザイナー、プレス、バイヤー、スタイリスト、ファッションエディター、モデルくらい(笑)。一応本やネットで調べたものの、MDや生産管理についてはイマイチピンとこず、もともとメディアに一番興味があったので出版社のインターンをしたのち、販売員からキャリアをスタートしました。

 下調べを真面目にしなかった自分の責任もありますが、それにしても一般大学生にとってファッション業界ってキラキラしたところばかりが目立って見える未知の世界なんです。OB、OGも他業界に比べて少ないので、リアルな情報がなかなか得られない。そしてなんとなく「販売員からスタート」が鉄則で、それが他の職種に比べて低賃金で辛いものというイメージもありました。(私は、販売員の経験はファッション業界でキャリアを積むにあたってとても重要なものだったと思っています。)

 2014年は今ほど他業界からのファッション業界への参入が多くなく、ファッション系の新規事業やそれを取り巻くベンチャーは少なかったので、就職に際しても選択肢がありませんでした。周りでは「ファッション業界に携わりたい」と思っていても、自分の経験やスキルを活かせる職種がわからず、泣く泣く断念する人も。正直、この状況は本当に勿体無いと学生時代から感じていて、もっとファッション業界について川上から川下まで、さらにはそれを取り巻く産業まで包括的に知れる環境があったらよかったなぁと。もし当時色々と知っていたら……それでも最初はメディアに携わりたいですが(笑)。

 実際にファッション業界で仕事をしてみると、服の知識があることは大前提ですが、その他の知識や興味関心が重要なことに気がつきました。SNS運用一つとっても、最も効果的な運用から目的設定などの戦略設計、時事ネタを絡めつつ炎上させない社会問題までを頭に入れる必要があり、要求されるのはファッションへの知識・感度だけではありません。

 ファッションが洋服だけを指す時代ではなくなり、発信・販売・生産方法が格段に増えたいまは、必要とされる能力・人材の幅が広がったということです。だから企業はファッション業界に興味がある大学生や社会人という「潜在層」にアプローチせずして、新しい時代を生き残れるのか?とすら思うのです。

 記事内で紹介されていたレディー トゥ ファッションのイベント写真には、マスク姿の学生が多く写っていました。開催は2月15日。新型コロナウイルスによるイベントの一斉自粛が始まる直前だったので開催できたのだと思いますが、それでも多少の不安がある中でこんなにも多くの学生がファッション業界を志し、行動に移したという事実は“重く”受け止めるべきです。

 状況はその直後に一変し、就活シーズンだというのに合同説明会は中止。学生たちの不安は計り知れないと思います。そんな中、レディー トゥ ファッションはウェブ説明会を配信するYouTubeチャンネルを即座に開設しました。希望企業には無料で取材・収録・配信を行うそう。いまの学生たちなら配信動画の閲覧なんてノンストレスでしょうから、ライブ配信でインタラクティブな仕組みにしたら、もしかしたら合同説明会より効果的かもしれませんね(笑)。

 これから他業界の参入や技術の発達、消費者の価値観の変化によって“ファッション業界”が広がっていく中、旧来の「優秀な人材」にとらわれない多彩な才能をいかに確保できるかが企業の鍵です。その瞬間の露出やバズを狙えるフォロワーの多い外部インフルエンサーを見つけて囲うことに躍起になるよりも、自社の未来となりうる逸材発掘に力を使った方が良いのかなぁ、なんて思っています。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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