中国の投資会社フォースン インターナショナル(FOSUN INTERNATIONAL)傘下のランバン(LANVIN)のジャン・フィリップ・エケ(Jean-Philippe Hecquet)最高経営責任者(CEO)が退任する。ランバン取締役会の長を務めるジョアン・チェン(Joann Cheng)=フォースン ファッション グループ(FOSUN FASHION GROUP)会長が暫定的にCEOを務める。
「われわれの株主は確固としたビジョンを持っており、この新たな展開を迎えたばかりのブランドへのコミットメントと投資を続けていく」とチェン会長は語った。
業界筋によれば、エケCEOと取締役会は投資の規模やあり方について意見が合わず、主導権を争っていたという。また、2020-21年秋冬コレクションはバイヤーたちから好感を得たものの、新型コロナウイルス発生による影響でオーダーのキャンセルが相次いだタイミングでもあった。
エケCEOは、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のルイ・ヴィトン カナダのジェネラルマネジャーや「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」のインターナショナル・リテールマネジャーを経て、2014年に仏ハイカジュアルブランド、サンドロ(SANDRO)のCEOに就任。4年連続で事業を20%以上成長させるなど手腕を発揮し43カ国に600店舗を展開する世界規模のブランドに導くなどの手腕を買われて18年に現職に就任した。
一方、ブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)「ランバン」アーティスティック・ディレクターは継続すると見られている。「ランバン」はアルベール・エルバス(Alber Elbaz)が15年にブランドを去って以降、後任のブシュラ・ジャラール(Bouchra Jarrar)が在任わずか16カ月で退任し、オリヴィエ・ラピドス(Olivier Lapidus)も2シーズンでブランドを去るなどウィメンズのトップが定着しなかった。18年には会社清算の危機に直面し、フォースンが過半数株式を取得したことで傘下に収めた。メンズも18年11月には13年間クリエイティブ・ディレクターを務めたルカ・オッセンドライバー(Lucas Ossendrijver)が退任した。19年からシアレッリがメンズとウィメンズ双方を統括し、ブランドの若返りと再建に着手している。